
大塚は、子供達と一緒に、ぜひ観たいと思っている映画が、いくつもあるのですが、表題の「ガタカ
この作品は、SFサスペンス映画の体裁を装っていますが、そのテーマは人間社会の本質です。
人生との対峙の仕方が、よくわかる映画です。
もう、何回も観ましたが、観るたびに新鮮な発見があり、感動の涙で心を清めさせてもらっています。
「ガタカ:GATTACA」のストーリー:
「この世は不可能なことばかりだと思う?
そうじゃない。
欠点を探すのに必死になっているから、みんな本当のことが分からなくなっているだけだ」
遺伝子を調べることで、寿命がどれくらいか、そしてどんな病気で死ぬのか、そこまで分かってしまう近未来。
人間が国籍でも人種でもなく、遺伝子の優劣によって差別されてしまう世界で、遺伝子操作を受けず、自然に誕生した主人公ヴィンセントは、生まれた瞬間に「神経疾患の発生率60%、躁うつ病42%、注意力欠如89%、心臓疾患の確立99%、推定寿命30才」と医者から病弱短命の宣告を受ける。
医者の見立て通り、ヴィンセントは小さい時から虚弱体質で、年中病気や怪我が絶えなかったことから、学校からも受け入れを拒否された。
その状況に懲りた両親は、ヴィンセントの弟を、「一般的な普通の方法」・・・つまり、「遺伝子操作」で遺伝性の疾病要因に加え、禿げ、近眼、アルコールなどの依存症の可能性、暴力性、肥満の因子を持たないように産むことを決意した。
父の名を継いだ弟アントンは、成長スピードも、体力も、兄に勝っていて、幼い頃からヴィンセントは、アントンとの違いを感じていた。
二人は、よく親の目を盗んで度胸試しをしていた。
遠くまで泳いでいって、怖くなり先に引き返したほうが負けというルールだった。
当然、体力の勝るアントンが常に勝ち、ヴィンセントは、いつも先にバテて負けてしまっていた。
そんなヴィンセントは、地球に居場所を感じなかったからなのか、いつしか宇宙飛行士を夢見るようになっていった
しかし、両親からは「その心臓を抱えてちゃ受かる筈がない」「現実を見ろ。お前の能力には限りがある」「お前には絶対ムリだ」と言われ続けた。
宇宙飛行士を目指すのは、最も実現が困難な夢だった。
もちろん遺伝子による差別は、法律で禁止されているが、法律に力がないのは、近未来も同じだったからだ。
そんなある日、ヴィンセントはアントンと、度胸試しをして、勝ってしまう。
その日のヴィンセントは、帰りのことを考えず、ただひたすら前に進むことだけ考えたのだ。
この日、初めて兄弟の立場が逆転し、そして、ヴィンセントの人生から不可能がなくなったのだ。
遺伝子の問題をクリアしないと、宇宙飛行士になる入口にさえ立つことが出来ないヴィンセントは、「遺伝子の申し子」と呼ばれるほど、超人的に優れた遺伝子を持つジェロームになりすまして宇宙飛行士を目指すことになった。
果たしてヴィンセントは、不適正者として持って生まれた心臓疾患や、寿命という運命を乗り越えて、夢を果たすことが出来るのか?

「僕に何が出来て何が出来ないか、勝手に決めるな」
この映画は、登場人物一人ひとりにも、ちゃんとドラマが用意されていて、そのキャラクターを演じるのも、素晴らしい役者が揃いました。
適正者のみ評価される世界で、不適正者としての宿命を、乗り越えようとする主人公ヴィンセントにイーサン・ホーク。

完璧な遺伝子を持ちながら、何度挑戦しても銀メダルしか獲得できない自分に苦しむジェロームに、ジュード・ロウ。

ヴィンセントと同じく心臓疾患を抱えながらエリート社会で必死に生きるアイリーンにユマ(ウマ?)・サーマン。

自分よりあらゆる面で劣っている兄への敗北感に苛まれるアントンにローレン・ディーン。

他にも、アラン・アーキンや、ゴア・ヴィダル、アーネスト・ボーグナイン、サンダー・バークレーに、トニー・シャルーブといった凄い面々が脇を固めています。

DNAレベルで、適正者と不適正者に分けられ、その境を越境することは、ほとんど不可能に近い管理体制が整っている世界・・・。

持つ者へは、より集まり、持たざる者は、更に失う現代の原理原則をSFの舞台を借りて、描かれているところに薄ら寒さを感じますが、人間の可能性を遺伝子レベル(スペック)のみで判断し、基準に満たないものは、切り捨てる社会に、果敢に挑戦し、何度壁にぶつかっても、ひたむきに諦めず挑戦し続けるヴィンセントと、彼との出逢いによって、自分のアイデンティティと向き合い、恵まれすぎていたが故に、縛られていた遺伝子の呪縛から開放されていくジェローム、二人の姿に、感激しました。
もちろん、ジェロームのラストシーンには、賛否両論あると思います。
でも、宇宙に向かうヴィンセントの「人間は、宇宙の塵から出来たという。もしそうなら、僕は故郷に帰るのかもしれない」という言葉に、ジェロームも「塵になり、ヴィンセントと共に宇宙と一つになることで、故郷に帰った」という意味に感じられると思うのです。

最後の最後で、今からロケットに乗り込もうという直前に、思わぬ遺伝子テストを受けざるを得なくなり、観念したヴィンセントに、「息子が君のファンでね」と語りかけるレイマー医師。
医師の息子は、将来宇宙飛行士になりたいという夢を持つ「不適正者」だったのです。

「不可能だろうか?」
「不可能なんかない」
「早く行け、ヴィンセント」
検査結果を、ヴィンセントからジェロームへとすり替える医師。
(T▽T)
人生って、人間社会って、実は、こういうことですよね?
みんなの思いを抱いて、ヴィンセントは土星へと旅立ちました。
ぜひ、結末を見てみたいです。多分、タイトルが原題のまま?ということで、意味がよくわからないこともあって、こちらで拝見しなければ絶対見る事のない作品です…(「ガタカ:GATTACA」って、どういう意味なのでしょう…)
来年、ちびが就園したら、まず私が見てみます!
コメントありがとうございます(^▽^)
タイトルのGATTACAとは、主人公が勤める会社名なのですが、人間の遺伝子を構成する元素グアニン(Guanine)、アデニン(Adenine)、チミン(Thymine)、 シストシン(Cystosine) の頭文字のアナグラムだったと思います。
オープニングで、出演者の綴りのG、A、T、Cが最初に浮かび上がって名前を完成させるシーンは、美しいですよ。
本作品は、本当にお勧めで、学びの多い作品です(^▽^)
きっと、お子さんが大きくなったら、一緒に観たいと感じられるのではないでしょうか?
ガタカの世界と比べればまだまだ努力が報われる現代に生きているのに、ちょっと高い壁があるとすぐ「無理だ」とか「諦めろ」と言ってしまいがちな現代人をヴィンセントが一喝してくれます。
「僕に何ができて何ができないかなんて、勝手に決めつけるな!」
「信じられないかもしれないけど…可能なんだ!」
ホッケすさんのおっしゃるとおり!多くの人に勧めたい名作ですね^^
うれしいコメントありがとうございました^▽^