2008年12月01日

映画「サイレントヒル:SILENT HILL」超完全解読・・・というより、大塚の深読み(^^;)








感じるんだ・・・





ここにいた・・・





妻だ・・・











コメント欄にいただいた御意見に対してお返事するために、映画本編を再見・・・とはいっても(怖いので)飛ばし観してみて感じたことがあったので少々加筆してみました。(2012.9.22)





果たして、「サイレントヒル」という街は現実なのか妄想なのか・・・




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最近、映画「サイレントヒル」を再見したので、以前書いた超完全解読(と言うのも、おこがましいですが、まぁ、解読というよりも、私なりに感じたこと)を加筆訂正して紹介したいと思います。


鑑賞後・・・二度目にもかかわらず、ドッと疲れが・・・もうね、凄かったです(^▽^;)



何が?




って訊かれると、何と言っていいか分かりませんが、よくホラー映画で追いかけられる恐怖とか追い詰められる恐怖というのがあるじゃないですか?


あの追い詰められっぱなし感があるんですよ。


常に。






モンスター(クリーチャー?)が居ないシーンでも。


ただ、「サイレントヒル」の町並みが映っているだけのシーンでも。



もうね。

映像も音声もストーリーも演出も、何もかもがすごいんです。



あの、ホラー映画とかでよくある、ドキッ!ってビックリさせるヤツ、ああいうのではありません。

そういう意味ではホラーが苦手な人でもいけるかも知れません。

ただ、映画鑑賞中は、ずっと力が入りっぱなしになると思うので、疲れますよ(^。^;)







この映画の原作は日本のゲームですが、原作ゲームのファンからもゲームの世界観をほぼ完璧に再現できているということで、評価が高いようです。

私は何度か義弟がプレイしているところを観た事がある程度で原作ゲームをプレイしたことはなかったのですが、それでも霧(映画では灰)でほとんど視界が利かないところなどゲームとまったく同じ雰囲気を醸し出すことに成功していますし、クリーチャーが近付くと、ラジオからノイズが発生したりするところなんか、映画でも車のラジオからノイズが出たり、携帯電話や無線機からノイズが発生するので、「おお♪」と思いました。





ゲームをプレイしていたら、きっとすごく嬉しいんだろうなぁ・・・と思って、早速ゲーム版「サイレントヒル」(中古で300円でした)を購入して、「PS2」を購入してプレイしてから、また映画版「サイレントヒル」を観直しようと思ったのですが・・・怖くて途中で投げ出してしまい、まだクリアしていません(T皿T)。

ゲームって分かっているんですが、めちゃくちゃ怖いんです(TAT)





もちろん、ゲームをプレイしていなくても、充分見応えある映画です。

ホラーファンのみならず、映画ファンにはぜひ観て欲しい映画です!

こんな映画は、なかなかありません。





そして、この映画のすごいところは、描かれる映像やストーリーをそのまま単純に受け入れるだけでも、充分見応えある映画であるにもかかわらず、どこまでも深読みできて、その証拠に数々の考察が、ネット上で行われています。



これは、かのデヴィッド・リンチ監督の「マルホランド・ドライブ」以上の盛り上がりかもしれません。





そこで、私も久々に「超完全解読」に挑戦してみました。

ストーリー紹介の後、「超完全解読を読む」から先で、「超完全解読」を書いております。

完全にネタバレですので、映画鑑賞直後にご覧いただくことをお奨めします。

そして「超完全解読」を読み終えた後、あなたはもう一度「サイレントヒル」の再生ボタンを押さずにはいられないでしょう。












「サイレントヒル」のストーリー:
「子供にとって母親は神だから・・・」




ローズ(ラダ・ミッチェル)とクリストファー(ショーン・ビーン)・ダシルバ夫妻は、赤ん坊の頃に孤児院から養女として引き取った娘・シャロン(ジョデル・フェルランド)の奇妙な言動に悩んでいた。


シャロンは9歳になってから情緒不安定に陥り、夜中に泣き叫ぶ事が多くなっていた。


最初は夜叫症かと思われたが、段々エスカレートしていって最近では薬物療法の甲斐なく、度々何かに取りつかれたかのように「サイレントヒル・・・」という謎の呻き声を発して歩き回るのであった。

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入院させて本格的な治療をさせたいと考えるクリストファーだったが、ウェストバージニア州に「サイレントヒル」という街が実在することを探り当てたローズは、クリストファーに無断で、シャロンを連れてその街を訪ねることにする。

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「サイレントヒル」は30年前に無数の人々を犠牲にした大火災が発生し地下火災が未だに続くという忌まわしい事件により、廃墟と化した街だった。


「サイレントヒル」への道中、職務質問しようと停車を呼びかけてきた白バイの女性警官シビル・ベネット(ローリー・ホールデン)を振り切って狭い山道を飛ばすローズは、不意に路上に飛び出してきた少女を避けようとして車ごと山腹に突っ込み、そのまま意識を失ってしまう。


夜が明け、目を覚ましたローズはシャロンの姿が消えていることに気付く。


あたり一面、灰に覆われた道を歩き出した彼女は、「サイレントヒルへようこそ」と記された看板を発見し、まったく人気がなく、不気味なまでに静まり返った街の中へと足を踏み入れる。

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やがてシャロンらしき子供のシルエットを目撃したローズは、その影を追って街の中をさまよい始めるのだが・・・


次第に明らかになっていく「サイレントヒル」に隠された忌まわしい秘密。

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30年前に一体何が「サイレントヒル」で起きたのか?


なぜ、シャロンはこの街に消えたのか?

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そして、想像を絶する恐怖の迷宮に囚われていくローズは、「サイレントヒル」から抜け出すことができるのか?








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冒頭、夢遊病でさ迷うシャロンを探すために、ローズは迷わず屋外に飛び出していっていたところから、シャロンの夢遊病が、これまで何度も繰り返されていた事がわかります。

そして、度々シャロンが口にする「・・・サイレントヒル・・・」というキーワード・・・



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インターネットで見つけた「サイレントヒル」というゴーストタウンに向かう車中で、クリストファーからの電話を無視し、白バイ警官の制止を振り切るローズの姿に違和感を覚える方もいらっしゃると思いますが、これは・・・

1. 夢遊病の治療法に関する考えが夫婦間で対立して(ローズは「サイレントヒル」に答えを求め、クリストファーは、化学療法などに解決を求めて)いたことから、孤立感にさいなまれていたことと、夫の見当違いな解決法からシャロンを守るためだと思います。
「サイレントヒル」というやっと見つけた「答え」を目の前にして止められてたまるかという感じではないでしょうか?

2.夢遊病の度にシャロンを探し回っていて睡眠不足から、判断力が低下していた事(ナチュラルハイ)も、関係してたと考えられます。(ローズの睡眠不足からくる判断力の低下をクリスが良く分かっている事から、クリスはクレジットカードを止めましたし、イザとなれば捜索願を出すなどの強硬手段も辞さないという恐怖感をローズは持っています。)





さて・・・

サイレントヒルの街は、灰の降りしきるゴーストタウンと、サイレンと共に現れるクリーチャーが跋扈する、闇に侵食され呪われた街と、未だに30年前の大火災の火が燃え続けていて有毒ガスが立ち込める現実世界の街・・・という三種類の顔を見せます。

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有毒ガスが立ち込めるサイレントヒルは誰でも行ける街で、クリストファーは、このサイレントヒルでローズとシャロンを探しますが徒労に終わります。



永遠に灰の降るサイレントヒルに迷い込んだローズとシャロン、そしてシビル・・・それぞれに事故で気を失ったメンバーのみなので、この街が一種の狂気(通常の覚醒状態と違う脳波)にならないと入り込めない街である事が分かります。




シャロンの姿を持つ少女が思わせ振りにローズの前に姿を現し、逃げる事でローズをサイレントヒルの色々な場所に案内します。

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そのことから、ローズはシャロン=アレッサに、試されている事が分かります。

何を試されるのかは、母親として相応しいかどうかということと、もうひとつ最大の理由があります。

その理由さえ理解できれば、「サイレントヒル」の謎のすべてが、簡単に解けます。

では、もったいぶらずに結論からお話ししましょう。






あの「サイレントヒル」の世界を作ったのは、アレッサだと思われていますが、実は・・・

ローズとシャロンを「サイレントヒル」に誘ったのは、アレッサと、そしてアレッサと同一化したダリアなのです。




つまり、「サイレントヒル」という世界を形作っているのは、アレッサ=ダリアでありダリア=アレッサであるということです。




後半アレッサがローズに過去の出来事を観せますが、それはアレッサの記憶だけではなく、ダリアの記憶とアレッサの記憶が融合し混同してしまっています。

アレッサは「娘を失う母親の気持ちは、あなたにも分かるわよね?」と、ローズにダリアの立場で気持ちを吐露しますし、ダリアの記憶も映像としてローズに体験させられる事が可能であることが、その証拠です。


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「サイレントヒル」に登場するダリアには、「防衛機制」によるアレッサやへの「同一化」の疑いがあります。

・・・疑いというか、製作側が意図的にそう表現しているように思われます。



「防衛機制」というのは嫌悪感、不快感、不安、恐怖心、羞恥心、苦痛、罪悪感、そう言ったものを意識から切り離し、無意識の世界へ追いやってしまう心のメカニズムのことです。


心の中にはフラストレーション(欲求不満)からくる苦痛や不快を自動的に緩和し、自尊心を傷つけずに守ろうとする仕組みがあって、苦痛や不快の原因となる現実そのものを変えられない場合、欲求不満になっている心を誤魔化したり騙したり、歪曲したりすることによって心と精神の安定を図ろうとする働きがあり、それを心理学の世界では「自我防衛機構」と呼んでいます。





そして、ダリアは主な「防衛機制」の一つである「同一化」を起こしているように見えます。



本来「防衛機制」というのは、人格の崩壊を未然に防ぐために起こるので同一化というのも元々は自分にとって重要な人の属性を自分の中に取り入れることで、自分の理想の存在をイメージし、一体化して気持ちを安らげることなのですが、本作品のダリアの場合は姉であるクリスタベラの甘言を信じ、最愛の娘アレッサに瀕死の火傷を負わせてしまったという極度のストレス状況の中での同一化現象が見られますので、権威的な人物の内在化である「攻撃者との同一化」も同時に行われた可能性が非常に高いのではないかと思われます。






私がこのことに気付いたのは、教会の前で闇が迫る中ダリアに石を投げつけながら罵声を浴びせるアンナが、三角形でピラミッド頭のマッチョなクリーチャーに殺されるシーンを観た時です。

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1.ダリアは闇に襲われない。

これは、ダリアがアレッサの母親だから、ということで説明できますが、アンナが襲われるシーンではあきらかにダリアが三角形頭のマッチョマンに指示をしてアンナを襲わせています。




2.教会内には、闇が入って来れない。

これは、9歳のアレッサの意識に、それほど教会が神聖な存在という認識があったのかどうか?ということです。

現に過去を述懐するシーンで教会や教義を盲信だと指摘していたわけですから。

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しかし、ダリアにとってはどうなのか?

ダリアにとって教会や教義に対しての畏れは、アレッサを火炙りにされた時点で怒りに転化されてしまいましたが、姉クリスタベラという暴君に対しての恐れというものは、ずっと存在しているという点を本編では強調して描かれている事から、教会内=クリスタベラの結界内という認識でいただろう事は容易に理解できます。

曰く「盲信にとりつかれた者が居る限り、教会内には入れない」



ダリアにとってクリスタベラは絶対的な存在でした。
闇が教会に侵入できない理由は、これ以外に考えられません。

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クライマックスの協会での惨殺後、生き残ったダリアが「なぜ?(私は生き残れたのか)」といった台詞を言いますが、えてして人間は自分の行為の意味や本心を、正確に把握できていないものです。

特に不幸な女性、怒りを根底に持つ女性はそうで、本人は表層意識ではよかれと思って行動していても、その動機の根底には、陥れる快感やイジメる悦びを得るためであることがあります。

しかし、本人は相手の幸せを望んで行っているつもりになっているので、まったく自分の隠された欲求に気づかない・・・

こういうことは現実世界でも、よく起こっています。



そして、クライマックスでシャロンの目を見たダリアが驚いた表情を見せるのは、アレッサがシャロンに擬態したことに気づいただけでなく、自分自身がアレッサと「同一化」してこの「サイレントヒル」世界を作り出していた張本人だと気付いたからではないでしょうか?

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アレッサがローズを「サイレントヒル」に招き入れて行ったのは、自分を守る母性として相応しいかどうか確かめるためでした。

そのためにダリアが体験した悲劇を追体験させられます。

同じようにシャロンもローズと同じように、ダリアに連れられて過去のアレッサの追体験(皆から罵られ火炙りにされるところでした)をさせられます。

本編ではローズの立場からストーリーが成り立っていたのでシャロンの行動が分かり難いですが、ローズはアレッサによって導かれダリアの追体験をさせられ、シャロンはダリアに匿われながらアレッサの追体験をし、それぞれに試されていたのです。

アレッサとダリアが「同一化」しているため、それぞれの思惑が錯綜して「サイレントヒル」の存在理由やローズとシャロンが選ばれた理由が分かり難くなっていると思いますので、ちょと整理して分析を進めたいと思います。

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まず、シャロン(アレッサ)を追うローズとシビルが再会した時に現れた、手の無い頭からでかいコンドームを被ったようなクリーチャーは、手が無いため、直接的な暴力行為は出来ませんが、胸部にある口っぽい穴から吐いた酸でシビルの服を溶かしたことから、罵声や噂話でダリアやアレッサを傷付けた者たちや傍観者を象徴しています。

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そして、闇の侵食を告げるサイレン。



「サイレントヒル」は元々炭鉱の町でした。

炭鉱ではことあるごとにサイレンが鳴ります。

出勤時もそうですが、特に事故があった時(実際炭鉱での事故は日常茶飯事だったようです)等です。

炭鉱の町では、建物の屋根に「サイレン」が取り付けられ、炭鉱に災害が起こった時に連続のサイレンを鳴らして「非常」を知らせました。

そこからダリアの意識の中に「サイレン=不吉な報せ」という公式が出来上がっていたことでしょう。

当時、子供だったアレッサに、サイレンに対して同じ認識があったかどうか・・・サイレンは時報の役目もしていましたから。

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また、ガスマスクの男達がローズを追うシーンで、鳥かごの中のカナリアがバタバタと苦しみ出した途端に慌てふためいて、その場を立ち去るシーンがあります。

これも「炭鉱のカナリア」ということですね。

炭鉱夫たちは鳥かごに入れたカナリアを持って坑道に入って行きました。

カナリアという鳥は、気候の変化や環境の変化に非常に敏感で、炭鉱の中での危機にもっとも早く反応し、すぐに死んでしまうのだそうです。

一酸化炭素の増加や酸欠状態という危機を「検知」するために、炭鉱ではカナリアが飼われていました。

そこで映画でも、闇の到来を検知するための存在として「カナリア」が登場します。



いくら炭鉱の町の子だとしても、身内に炭鉱夫が居ないアレッサが、こういったカナリアの存在意義を認知していたとは思えません。





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次にトイレで、コリンの死体(?)から襲われます。

このクリーチャーの手足は有刺鉄線で縛られていて自由に動けず、這ってローズに近付いていきますが、舌をベロベロと出しているのが印象的です。



クライマックス付近で、ローズは直接アレッサ本人からコリンにトイレで襲われたことを聴かされますが、その回想シーンで、トイレに駆けつけたダリアに抱きしめられ庇われるシーンがあります。

なぜダリアは学校の、それもトイレでアレッサが襲われていることを知っていたのでしょうか?

それはダリアが、コリンが女の子を襲うような人物で、しかもたとえ学校のトイレでも、そういった行為に及ぶような人間だと知っていたからではないでしょうか?




つまり、ダリアはコリンにレイプされた経験があり、コリンはアレッサの父親だった可能性があります。

同じ回想シーンで、クリスタベラが軽蔑のまなざしでダリアとアレッサを見つめるシーンがありました。

(母親が母親なら、娘も娘ね・・・)という思いの表れではないでしょうか?



コリンにレイプされたダリアは、アレッサを妊娠したのではないでしょうか?

厳格なクリスタベラが、このことを知ったら・・・結局、ダリアは父親のことをクリスタベラに隠したままでアレッサを出産します。

ダリアの心の中では、コリンに対する愛憎が渦巻いていた事でしょう。




ダリアの複雑な思いは、コリンの哀れな姿に主張されています。

心理学では、異性を縛るのは性的な独占欲の表れです。

しかもコリンを縛る有刺鉄線は、コリンの皮膚を破り、血を吹き出させています。

そしてコリンは絶えず舌をベロベロと動かしていますが、心理学では、舌はセクシャルな象徴ですので女と見ると食指を動かすコリンの性格が現れています。

ダリアのコリンに対する複雑な感情が表されていますね。




「サイレントヒル」に登場するクリーチャーの中で、唯一コリンだけが生前の存在を確認できるクリーチャーです。

彼のみが特別扱いなのは、ダリアにとってもアレッサにとっても特別な存在だからです。




そして、一番印象的なクリーチャー三角頭のマッチョマンさん。

心理学では、三角形、尖ったもの、ナイフや包丁、長いものなどはすべて男性器の象徴です。

三角の頭。

筋肉質な裸体。

大鉈。

そして、必ず大量の虫を引き連れていますが、フロイトの夢診断では「虫の夢」は「妊娠」を象徴していますし、あの虫の姿が、ゴキブリに酷似していますが、「ゴキブリ」は「解決できない煩わしい問題」の象徴です。

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レイプの恐怖心から作られたクリーチャーでしょう。




最初に三角頭のマッチョさんが虫を伴ってローズの前に現れた時、間一髪シビルに助けられ、換気室に逃げ込み鉄の扉にかんぬきをかけてホッと一息つきます。

しかし、それも束の間、なんとマッチョさんの大鉈は鉄の扉をいとも簡単に突き破り、ローズとシビルを襲います。

安心できる文字通り鉄壁のガードで守られているはずの扉が破られ、その隙間から大量の虫がなだれ込んできます。

そして室内をかき乱すように大鉈を執拗に振り回すマッチョさん。

これは男性からのレイプの象徴ですよね。

換気室は女性の貞操、あるいは膣内に見立てられています。

そこに鉄の扉を突き破って進入してくる大鉈は文字通り男性器、虫はここでは精子の象徴です。

男性(女性もかな?)なら、あの振り回される大鉈にあわや・・・という感じで顔をよがませてよけるローズとシビルの表情にエロティシズムを感じてしまったのではないでしょうか?

このシーンが、レイプによる妊娠というダリアの追体験となります。






教会前でのアンナの殺し方にも同様の意味があります。

服を引き剥がして、素っ裸にして胸を鷲掴みにして・・・

レイプそのものの殺害順序です。

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しかし、レイプという恐怖の行為のみが、コリンから分離してクリーチャー化しているところにも、コリンに対する愛憎渦巻く複雑な感情が表現されています。








シャロンそっくりの少女(アレッサ)を追うことによって、ローズは30年前に「サイレントヒル」に起こった忌まわしい記憶を追体験する事になります。


これは、アレッサからすると過去と同じ状況でも娘を救い出すほどの母親を求めていたということになりますが、ダリアからすると果たして自分(ダリア)の行いは、あれでよかったのか?という問い掛けに対する答えをローズに求めるためです。




過去ダリアは世間知らずというか、母親代わりの姉クリスタベラに支配翻弄されて娘を失う事になります。

同じようにシャロンそっくりの少女を追うことによってサイレントヒルを構成する力にイニシアティブをとられた形でローズも翻弄されながら娘と引き裂かれます。

同じ境遇において、自分の存在や行動が可か、否かを問いたい!

つまり、どんなに娘を愛する母親であっても、同じ境遇にあれば、同じ運命を繰り返すんだ。

私の落ち度ではない!

私だから娘を失ったのではない!

誰が母親でも、あの状況なら同じ結果になる筈だ!

私が悪いんじゃない!!






その保障が欲しかったのでしょう。



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クリスタベラがアレッサを火炙りにしている事を知ったダリアが警官に助けを求めて、グッチ刑事(当時は制服のおまわりさん)が黒こげのアレッサを火傷を負いつつ助け出します回想シーンがありますが、シビルはこのグッチさんの役回りで「サイレントヒル」に取り込まれたものと思われます。





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アレッサが誘拐され殺されたのが1974年11月1日で、この30年前の大火災の惨劇からアレッサの悪性が誕生したのであれば、シャロンが9歳というタイムラグの必要性はどこにあるんだろう?という疑問がよく提示されていますが、これはタイムラグがあるというよりも、今までも何度と無く今回同様孤児院から引き取られた女の子が、「サイレントヒル」に迷い込む事件が多発していたのでしょう。

何回も何回も繰り返し同じ事が繰り返されていたから、孤児院のシスターはアレッサの写真を見せながら説明を求めるクリスに「この娘の秘密を暴けば、大勢に波紋が広がる!」と言って怯えたのです。



そして、今までの母子は途中で失敗してきたのではないでしょうか?



ローズが、サイレントヒルにとりこまれてすぐに、灰色の炭火のような小さなクリーチャーに襲われますが、この時のクリーチャー達はどちらかというと襲っているというより、ローズにすがり付いてきているように感じます。

このクリーチャー達こそ、これまで失敗して火炙りにあってきたシャロン達なのではないでしょうか?

そう考えると、このシーンも辻褄が合ってきます。

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もちろんダリアにしてみれば、何回も確かめることは、いつか例外的に娘を救う母親が現れるかも知れないという恐怖があるので何回も繰り返したくは無かったでしょうが、アレッサからすると何回試してでも母親として自分(と同じ境遇の娘)を救う母親に出会いたかったであろうし、そういう神の様な母親に母親として(アレッサからすると、自分に死をもたらした)死神の様だった母親(ダリア)の呪縛から救って欲しかったのです。





だから、ラストシーンでアレッサはシャロンに乗り移り、ダリアを捨てました。





ラストシーンでローズが言った「子供にとって母親は神(母親次第で子供の運命は180度違うものになる)だから・・・」という台詞は、ダリアにとって「・・・だから、娘を死に追いやる死神の様な母親は本当の母親ではない」というダリアを否定する言葉になりました。



アレッサがローズに自分の事を「死神」と名乗る事から、そういう超常的存在の関与を前提に論じる人も居ますが、これは上記のことを踏まえた上での比喩にすぎません。



ローズを試すのはアレッサの完璧な母親かどうかをテストするという面が強調されていましたが、これはダリアにとっても同じでした。

ダリアは自分自身への許可を求める心理の一方、自分の母親をも求めていました。

本編回想シーンでは、ダリアの母親は出てきませんでした。

そのことから母親は居らずクリスタベラが母親代わりであったことが分かります。

つまり管理しようとする母親(クリスタベラ)は居ても、愛してくれる母親は居なかったのです。

だから、確実に過去の自分への許可を求める一方で、アレッサの心理に隠れてはいましたがダリア自身の心理にも愛してくれる母親探しという側面もありました。





だから、数々の母親たちが失敗するたびにホッとしながらも、本当の意味でダリアの心が救われることはありませんでした。



ラストシーンでローズとシャロンが帰宅した自宅が「サイレントヒル」の世界から抜け出せていずに、クリスがローズの存在を感じながらも姿が見えない・・・みたいな終わり方をしていて、このラスト自体賛否両論なのですが、娘に見捨てられたダリアがまだ生きているから(ダリアの意志も「サイレントヒル」の形成因子のため)まだ「サイレントヒル」世界から抜け出せる訳が無いのです。

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ですから、製作予定である映画「サイレントヒル2」が「サイレントヒル」直接の続編となるのであれば、ローズはまた「サイレントヒル」に向かい、アレッサ=ダリアの謎を解きながらアレッサ=ダリアの魂を救うことがテーマになるでしょう。

奇しくも、教会の前でダリアから、「正しい選択を・・・復讐は悪を呼び覚ます。気をつけなさい」と忠告されていたのですから・・・。

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と、まぁ「サイレントヒル」を、心理学をスパイスに、とことん深読みすれば、これくらいは行けるのですが、ひとつ問題なのは、監督クリストフ・ガンズを買いかぶり過ぎている可能性があるということです。

私はクリストフ・ガンズの作品を他に観た事がない(観ていれば監督の作品傾向が分かるので、故意の演出なのか、それとも行き当たりバッタリで演出するタイプなのか分かる)からです。

更に、原作ゲームも未だに最後までプレイしていませんから・・・

いくら謎解きしていても、実際原作や監督のほかの作品を知っている人から見れば、深読みし過ぎた結果であるという可能性が高いのです(^^;)



だから、上に書かれたことは私が「謎の捏造」をした可能性があることを念のため申し上げておきます。




さて、加筆している現在(2012.9.22)、続編の予告編があがってきましたので貼り付けておきます。

予告編の限られた情報からでは良く分かりませんが、ローズの夫でありシャロンの父親でもあるクリスを演じたショーン・ビーンが行方不明になり、その父親を探す娘が主人公のようですね、第一作目との関連もどう描かれるのか注目ですね、楽しみです(^▽^)








しかも、ラダ・ミッチェルの名前も出演者の欄にクレジットされているようですね、いやでも期待が高まってしまいます^^




(2014.3.23)続編「サイレントヒル:リベレーション」について超完全解読をアップしましたので、ぜひお読みください♪


※当記事は、拙ブログ過去記事を加筆訂正したものです。
posted by 大塚陽一 at 12:25 | Comment(17) | TrackBack(0) |   ・超完全解読スイッチ
過去記事でも、コメント大!大!大!歓迎です! あなたの一言が、私のモチベーションにつながります! コメントお待ちしておりま〜す(^▽^)/
この記事へのコメント
管理人さん、はじめまして。
いろいろサイレントヒルの解説を読んできましたが、管理人さんの解説が一番しっくりしました。
>最後の方で、奇しくも、教会の前でダリアから、「正しい選択を・・・復習は悪を呼び覚ます。気をつけなさい」と忠告されていたのですから・・・。のところ、復習じゃなくて復讐じゃないでしょうか?
管理人さん、インランド・エンパイアは見ましたか?管理人さんはどんな感想をもたれるのか気になります。気が向いたら解説お願いします。
じゃまた来ますね。
Posted by うっし〜 at 2009年01月04日 16:22
うっし〜様

はじめまして!
コメントとご指摘ありがとうございました!
「復習」→「復讐」に訂正しました。ありがとうございました!

「インランド・エンパイア」ですね・・・映画館に観にいくつもりが・・・行けず・・・リンチが大好きだという割には、DVDも未だ観ていないという・・・(^^;)

超解読を記事にアップするかは、観てみないとなんとも言えませんが、まずは「インランド・エンパイア」観てみますね。
観たら、解読しないとしても、感想は必ず記事にしますので、気長にお待ちいただけるとありがたいです(@^^@)

今後とも、楽しんでいただけるよう、頑張りますので、宜しくお願いいたします(^▽^)
Posted by 大塚陽一 at 2009年01月04日 19:26
見事な解説でしたが、
完全に深読みしすぎですね。
随所に指摘したい部分がありますが、
続編とラストシーンに関してのみ指摘いたします。
まず、ダリア=アレッサはあまり関係ないかと、異次元を作り出しているのはアレッサの憎悪です。
続編が1の続きで構成されるなら
間違いなく主人公はクリストファーのほうが自然だと思います。

それにローズが最後もなお、異次元に捕らわれているのは、
冒頭、交通事故の時点で、ローズとシビルは命を落としているからです。
だから、死者が成仏していない、憎悪に満ちた異次元へとアレッサによって導かれたのでしょう。

ですから、続編が1の続きであれば
ローズがダリアの魂を解放するってストーリーより、クリストファーは過去にサイレントヒルで行方不明になった妻の消息を追うストーリーになると予想してます。その方が展開が多く作れる為、作り手としても自然な流れで制作できると思うのです。

あとはクリーチャーや原作に関して
それに『映画』と『作り手』の考えを考慮すれば、あなたなら完璧な解説が出来ると思います。
Posted by サイレン太郎 at 2009年01月23日 19:23
サイレン太郎様
コメントありがとうございます。
私事ではございますが、現在療養中の身であり、返信が大変遅くなり申し訳ありませんでした。

さて、ご指摘の通り、完全に私の深読みしすぎですね〜(^^;)

なるほど〜続編はクリス編の方が、やっぱりいいですか〜個人的に女性が主人公である方が、好きなのでローズに主役を張って欲しいのですが・・・(^^;)

これからも映画に関する半ば思い込みに近い感想を書いていこうと思っておりますので、気の向いた時にでも、お出でいただけると嬉しいです(^▽^)

今後とも、宜しくお願いいたします(^▽^)ノシ
Posted by 大塚陽一 at 2009年02月17日 22:40
ここの解釈が一番しっくりきました。ローズが冒頭で死んだかどうかは解釈が別れるところですが、アレッサ≒ダリアはとてもいい見方だと思います。すべてのつじつまがあったようでスッキリしました。
ただ続編はさすがに旦那さんが主人公の方が話的にやりやすいと思います
と、かなり昔の記事にコメントを添えてみます
Posted by れたす at 2012年04月01日 17:32
れたすさま

レスポンスが遅くて申し訳ありません。

嬉しいコメントありがとうございます。モチベーションがあがります(^▽^

続編はまだですかねぇ〜???
Posted by 大塚陽一 at 2012年06月13日 08:37
Silent Hill 3D:Revelationがアメリカで
ハロウィン公開なので、日本は来年初頭でしょうか

ただ、前作監督のクリストフ・ガンズ氏が降りてしまった上
前作のキャラクター引き継ぎなので不安が拭えないです・・・
Posted by 崔連太郎 at 2012年06月16日 13:30
原作から映画を見たのですが三角様が男性器を意味しているというのは多分間違えです、三角様は罪を裁く者で罪を感じるもの、罪悪感をもつものを裁いていきます アンナは若かったので妄信的な信仰にどこか罪の意識を感じていたのではないかと思われます となるとなぜダリアが襲われなかったのが不思議なんですがね(笑)
次回作についていろいろ調べてみましたが前作の話ではないようです、元になるのはサイレントヒル3のほうだそうです その後前作監督がサイレントヒル2?を元にして製作するんだそうですよ^^
次回作の主人公は女性ですよー
Posted by △ at 2012年08月22日 16:42
>崔連太郎さま

コメントありがとうございます。
しばらく放置しておりました。申し訳ありません。

あれほど作品に惚れ込んだクリストフ・ガンズ監督でないのはほんと不安ですよね〜でも、来年頭には観れるのですね、やっと!

>△さま

コメントありがとうございます!
原作・・・というとあのゲームですよねぇ^^;
購入はしたものの、怖くて怖くて全然先に進んでいません^^;

でもやっぱりゲームちゃんとしてないとほんとの意味で内容が理解できないんでしょうねぇ〜誰かに頼んで目の前でプレイしてもらおうかなぁ〜^^;
Posted by 大塚陽一 at 2012年08月30日 01:19
初めまして。続編に期待と不安を抱きつつ、SILENT HILL関連のページを巡っていたら、素敵な解釈に出会えました〜!
アレッサ=ダリアの同一化説、面白かったです。回想シーンに、アレッサ視点ではない記憶も混ざっていた事に違和感を覚えていたのですが、この解釈だとすっきりしますね。
私はゲームから映画に興味を持った者ですが、映画もとても良かったと思っています。特に雰囲気と、裏世界出現の演出が!
賛否両論有れど、予備知識の無い人もゲームユーザーも楽しめる良い映画だと思っています。

三角頭のクリーチャーについてなのですが、私は大塚さんの解釈が、より監督の意図に近いのではないかと思います。
というのも、三角頭は(もしかしたら、ネットで既にご存じかもしれませんが)ゲームでは2作目からの登場なのです。そこでは、△さんの仰るように、断罪者(語弊有り)の役割を担っているように思えます。
ですが、映画で描かれた三角頭は、ゲームのそれとデザインが異なり、鋭角を強調した兜の形や、上半身裸で大柄な身体と、男性的な要素を強調したデザインになっています。配役がコリンの役者さんと同じらしいと言うのも。

アンナを殺害したシーンの他にも、三角頭=アレッサ・ダリアの男性への恐怖と思えるシーンが有ったのですが、良い加減長ったらしいので自重しておきます(笑)

あのクリーチャーはゲームファンにかなりの人気が有り、ガンズ氏もSILENT HILL2のシナリオを大変気に入っていたらしいので、ゲームSILENT HILLシリーズへの愛を敬意を篭めて登場させたのではないかと思います。

長々と失礼致しました。
他にも好きな映画の記事がたくさん有って、楽しく読ませていただきました。また拝読しに来ます。
Posted by もなか at 2012年09月21日 19:42
もなかさま

とても嬉しい嬉しいコメントありがとうございます(^▽^)
未だに怖くてゲームが進んでいないのですが、映画の続編は大塚も楽しみにしております。

>ですが、映画で描かれた三角頭は、ゲームのそれとデザインが異なり、鋭角を強調した兜の形や、上半身裸で大柄な身体と、男性的な要素を強調したデザインになっています。配役がコリンの役者さんと同じらしいと言うのも。

なるほどなるほど、同じ役者さんを使っているということは、矢張り!と考えていいでしょうね^^

>アンナを殺害したシーンの他にも、三角頭=アレッサ・ダリアの男性への恐怖と思えるシーンが有ったのですが、

なるほど、それはもしかして換気室(吸排気室?)のシーンではないでしょうか?
ちょともう一度観て確かめてみようかな〜?

もなかさんに喜んでもらえるように、できるだけ更新したいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします(^▽^)
Posted by 大塚陽一 at 2012年09月22日 21:19
こんにちは。
サイレントヒルリベレーションをレンタルでようやく観て、それと一緒にサイレントヒル1をもう1回観たのですが、リベレーションへの繋がりがいまいちわからなかったので、色々探していたらここに辿り着きました。
1は単純にものすごく怖い映画でそれを堪能して見ていたのですが(2はその良さが100分の1くらいになったなという印象ですが)、確かに伏線が張られまくっていてその意味がわからないまま終わっていました。(僕は金田一もコナンも読んでましたが、いつまで経っても全く推理できるようになりませんでした。)
大塚さんの解釈を読んで、そうだとしか思えず感動しまくっています。
監督に教えてもらったんですか?と思ってしまいます。
レンタルで今日返さないといけないのですが、また見たくなったのでギリギリまで1と2を連続で観ようと思います。
詳しい説明ありがとうございました。
Posted by しょぴ at 2014年05月30日 13:07
しょぴさま

コメントありがとうございます。
とても嬉しいです。

私はとても映画が好きで、普段色々と映画で語られていない部分なんかを妄想したりしてるんですが、それに本職で学んだことを足してみて楽しんでいるだけなのですが、一緒に楽しんでいただけたなら、本当に嬉しいです(^^)

これからも出来るだけ楽しんでいただけるような記事を書いていこうと思うので、今後ともよろしくお願いいたします♪

楽しんでください(^▽^)
Posted by 大塚陽一 at 2014年05月31日 23:13
この映画だけは本当に意味不明だったのですが、あなたの解説でスッキリしました。
yutubeの英語版で見たのでなおさらです。ある程度英語はわかるのですが、やっぱりあいまいな表現が多かったので。

ホラー映画にしては、凄く深い内容ですね。
ホラー映画は演出に力が入りすぎて、内容がボロボロなことが多いですが(それがホラーなのかな?あまりホラーみないので)。
大変スッキリしました!ありがとう!
Posted by スッキリ! at 2015年06月28日 13:22
スッキリ!さま
嬉しいコメント、ありがとうございます!

スッキリしていただけて、本当に嬉しいです。

>ホラー映画は演出に力が入りすぎて、内容がボロボロなことが多いですが

確かに、力入れる場所が違うだろ!とツッコミ入れたくなるホラー映画は多いですね(^^;

これからもスローペースではありますが、細々と更新続けていきますので、よろしくお願いいたします。
Posted by 大塚陽一 at 2015年06月29日 22:53
サイレントヒルの映画レビュー経由でこのブログを訪問させていただきました。


>シャロンが9歳というタイムラグの必要性はどこにあるんだろう?

タイムラグについては、アレッサがグッチ刑事に瀕死の状態で救出され、細々と生き長らえている状態なので、その後何年もかけて少しづつ自分の悲惨な人生を冷静に客観視出来るようになったという事を暗に示したかったのだと思います。

火あぶりにされた当時のアレッサは、自分の周囲で何が起きているかも理解できず、ただパニック状態だったでしょうから。

やがて憎しみを募らせて、異世界をも生み出すくらいに怒りを爆発させるまでに20年前後を要したのだと考えるのが自然かと思います。現世の人間を何人も巻き込み死に至らしめるほど深くて巨大なエネルギーだということを表現したかったのではないでしょうか。

>今までも何度と無く今回同様孤児院から引き取られた女の子が、「サイレントヒル」に迷い込む事件が多発していたのでしょう。

この辺りは解釈が難しいですね・・・孤児院に預けられたアレッサの良性が知らずの内に他の子供たちへ影響を与え、やがて芽が開くようにアレッサの悪性の部分への回帰本能が目覚めた子供から一人ずつ、ふらーっと孤児院を出て行くというようなイメージがしっくりきます。

>数々の母親たちが失敗するたびにホッとしながらも、本当の意味でダリアの心が救われることはありませんでした。

ローズに引き取られたシャロンはサイレントヒルで彷徨っているダリアにすれば(ほぼ)親玉みたいなものですから、仮にローズが異世界でのシャロン救出に失敗していたらダリアも同時に絶命していたのかもしれません。良性の部分が滅びてしまったら、もはや残るのは悪性のアレッサと姉&信者、自らの幻影が生み出した悪魔たちだけです。

アレッサは結局シャロンに同化してローズと暮らすことにしたのですが、ここはむしろ「ダリアの魂が浄化されるチャンスが生まれた」のだと好意的に解釈したいです。

心理的な支配者であるクリスタベラが殺されるのを眼前で目撃し、同一化していたアレッサも自分の元から離れたのですが、こうして一人ぼっちになることは自分の心を省みる転機にもなり得るでしょう。

アレッサが何年もかけて怒りのエネルギーを育んでいったのであれば、ダリアは何年もかけて癒しのエネルギーを育んでいってほしいです。

そして真の意味で自立した時に再びアレッサがダリアの元へ戻ってきてくれることを望みます。その時は「悪性」とは呼ばず純粋に「ダリアの娘」として受け入れてほしいです。

>娘に見捨てられたダリアがまだ生きているから(ダリアの意志も「サイレントヒル」の形成因子のため)まだ「サイレントヒル」世界から抜け出せる訳が無いのです。

ローズ&シャロンコンビは冒頭で事故死していたから云々という解釈では薄っぺらくて正直納得がいかなかったので、この解説も腑に落ちました。「ダリア=アレッサ」の方程式とも抜群に噛み合っていると思います。

ホラー映画で、これほど頭を使わせられるものは珍しいのではないでしょうか。(というよりも、コリンの件など大塚様の記事を読んでハッとさせられることが多かったです^^)

コメント欄でだらだらと書いてしまいましたが、とても良質な記事を共有して頂き有難うございました!
Posted by 平林 at 2016年12月19日 09:30

>平林さん

コメント、ありがとうございます(^▽^)

そして、平林さんの考察も、ありがとうございます。



特に・・・

>アレッサが何年もかけて怒りのエネルギーを育んでいったのであれば、ダリアは何年もかけて癒しのエネルギーを育んでいってほしいです。

>そして真の意味で自立した時に再びアレッサがダリアの元へ戻ってきてくれることを望みます。その時は「悪性」とは呼ばず純粋に「ダリアの娘」として受け入れてほしいです。

ここのところ。
平林さんの心の美しさ、優しさがとても感じられて読んでいる私も清々しい気持ちで、もう一度見直したいなと思いました。


>ホラー映画で、これほど頭を使わせられるものは珍しいのではないでしょうか。

はい!
私も同感です!


>とても良質な記事を共有して頂き有難うございました!

こちらこそ、拙記事を素晴らしい解釈とコメントで彩っていただいて、感謝しております。

今後とも、よろしくお願いいたします!!
Posted by 大塚陽一 at 2016年12月19日 20:34
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