2009年04月19日

女王陛下の007:ON HER MAJESTY'S SECRET SERVICE

ohmsstitles1-thumbnail2.gif

007シリーズ第6作目「女王陛下の007」。

これは、二代目ジェームズ・ボンド=ジョージ・レイゼンビーが主役を張った唯一の作品であり、ボンドのシリーズ初のロマンス=結婚が描かれる唯一の作品でもあります。

thenewbondlazenbyweekly.jpg

本編中盤、吹雪の中を追っ手から命からがら逃げる二人は、束の間、暖をとる馬小屋の中で将来を語り合います。



そこで、ボンドはプロポーズをし、「子供は、男の子と女の子を三人ずつ」欲しいと言うトレーシーに、ボンドは諜報部を辞め、他の職を探すと告げます。




その表情は、苦渋の決断ではなく、むしろ晴れ晴れとしていました。



それだけ、このロマンスに迷いが無かったということでしょう。

1AE1AF1Af1AB1A1A1AO-thumbnail2.jpg


興行的には芳しくなかったと言われていますが、そうは言っても007シリーズの他の作品と比べての話であって、営業成績の面から見れば、実際は十分成功・ヒットしたと言えます。



後述しますが現在に至るも正当な評価を与えられていないのですが、当時としては画期的とも言えるスキーアクションの充実度、巧みな編集など、現在では高く評価されている作品です。









「女王陛下の007」のストーリー:やれやれ、こんな目に合うのは初めてだ



ロワイヤル・レゾー。



初めてボンドが、テレサと出会ったのは、海。



ひょんな事から海に入水自殺しようとする女性を救うが、それが未来の花嫁テレサだった。

oh1_1.jpg


出会いも束の間、謎の暴漢と戦っている間にテレサは消えてしまう。



次の再会はカジノ・ロワイヤル(!)にて。

bond's20wife20girlx8.gif

持ち合わせが無いにもかかわらず、大きな賭けに負けたテレサの支払いを肩代わりして、「あなたは、誰かを助けるのが趣味なの?」とテレサに皮肉られるボンド。



「人助けがクセなのさ、テレサ」

「トレーシーよ」

「君は無鉄砲すぎる」

「命に未練は無いの」

「今夜は、死なないでくれ」



そして、一夜を共にするボンド。

mv06_1-thumbnail2.jpg

ここまでは、これまでと同じ一時のロマンスのつもりだったに違いない。



その後、欧州最大の犯罪組織ユニオン・コルスのボス=ドラコに拉致されるボンド。

bond125-thumbnail2.jpg

トレーシーはドラコの娘で、付きまとっていた暴漢達もドラコの子分だったのだ。

ボンドが、世界最大の犯罪組織スペクターのボスであるブロフェルドを追っている事を知るドラコは、ブロフェルドに関する情報提供を条件に、「国際的不良」である娘トレーシーとの結婚を迫る。

「独身貴族のままがいい」というボンドだったが、ドラコの誕生パーティで、再会するボンドとトレーシー。

bond126-thumbnail2.jpg

勘の良いトレーシーは、自分をネタにした取り引きに気付き、激怒。

父親ドラコにボンドの欲しがる情報を今すぐボンドに話すよう迫り、話させてしまう。

「これでもう私に構う必要は無いでしょ」と席を立つトレーシー。

追いかけるボンド。



佇むトレーシーを振り返らせると、なんと涙を流していた。

トレーシーの涙を拭いてやり、思わず抱き寄せるボンド。


007s-jyo00-thumbnail2.jpg


木漏れ日の中

優しい柳の枝が生い茂る中を馬に揺られ語り合う二人

タキシードとドレスで広大な邸宅の庭園を散策

何かを熱心に語るボンド

噴水に腰掛け、それを嬉しそうに聴くトレーシー

スイスの街でショッピング

海岸を駆ける二人

捕まえたトレーシーに唇を近づけていく

トレーシーが自らのドレスでボンド共々包み込んで燃えるようなキス

あれほど死に急いでいたトレーシーが、将来の希望に目を輝かせていた。



バックで流れるルイ・アーム・ストロングの「We Have All The Time In The World(愛はすべてを越えて)」のバラードに併せて、ボンドとトレーシーが、徐々に愛情を育んでいく様が丁寧に、そして美しく描かれていく。


b72925_b~007-Posters-thumbnail2.jpg

この時、正に「We Have All The Time In The World(何もかもすべては二人のもの)」だった。



果たしてボンドは、ブロフェルドの野望を砕き、トレーシーと結ばれることができるのか?


「女王陛下の007」のサイドストーリー:なんでもない。疲れたから眠っているだけなんだ

piz20gloria_007.jpg


ブロフェルドのアジト(細菌研究所)として登場した「ピッツグロリア」は実在していて、007ランチやジェームズ・ボンドスパゲティなどのメニューがある回転展望台レストランとして観光客の人気を集めているそうです。



なお本作品の撮影にあたり、制作会社から撮影後に展望台にレストランを作るための資金が協力されました。



この作品に登場するボンド家の勲章に、ボンド家の家訓として代々引き継がれている言葉である「The world is not enough(世界だけでは足りない)」が、ラテン語で刻まれています。


bond128-thumbnail2.jpg


この家訓が、後に007シリーズ第19作目のタイトル「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」となりました。








007シリーズ第12作目「007/ユア・アイズ・オンリー」冒頭シーンでは、ボンドが妻、トレーシーの墓を見舞うシーンがあります。





墓石には「トレーシー・ボンド1943〜1969」とあり、ボンドを演じる役者は、レイゼンビーからロジャー・ムーアにバトンタッチされていますが、同じ時間軸を描いていることが分かります。

bond221-thumbnail2.jpg

更にこの時、ボンドは謎の人物に襲われるのですが、この人物、誰かというのはハッキリ描かれませんが、禿頭に人民服、そして馴染み深い猫を撫でながら登場します。


fyeo5-thumbnail2.jpg


そう、あのブロフェルドを連想させるように撮影しています。



ただ、ここで注目しなければならないのは、この人物は、車椅子に座り、首にはコルセット(!)を、巻いています。

もしかすると、あの「女王陛下の007」の直後にリンクさせているシーンなのでしょうか?

ohmss036-thumbnail2.jpg

それとも、あのボブスレー・チェイスの時以来慢性のむち打ち症に悩まされているということなのか・・・どうなのでしょう?

いずれにせよ、あのブロフェルドの最期が、あのシーンだと思うと・・・なんか切ないですね。






因みに、映画「女王陛下の007」の原作小説では、ボンドが休暇を取ってヴェスパー・リンドの墓参りをするシーンから物語が始まります。






このヴェスパーというのは、007の新シリーズ第一作「007/カジノ・ロワイヤル」の原作小説「カジノ・ロワイヤル」に登場するヒロインです。






もしあなたが、すでに原作小説の第一作目「カジノ・ロワイヤル」を読まれたか、あるいは第二シリーズ第1作目「007/カジノ・ロワイヤル」をご鑑賞済みであれば、ボンドにとってヴェスパー・リンドというのが、どれほど大きな存在かは、ご理解いただいていると思います。




ボンドは、ヴェスパーを失ってから、毎年ヴェスパーとの思い出のカジノ・ロワイヤルに足を運んでいるのですが、ボンドが、トレーシーと二度目の再開を果たすのが、そのカジノ・ロワイヤルなのです。

ohmss-vesper.jpg

ボンドの唯一無二の妻となるべきトレーシーとの出会いの前にヴェスパーの墓参りシーンを挿入し、ヴェスパーとの思い出のカジノ・ロワイヤルでトレーシーとの再会シーンを描くことで、ボンドにとってヴェスパーが、その他大勢のいわゆる「ガール」達と同類ではなく、特別な存在だったことを表し、また、そのことが翻って、これから出会うトレーシーが、ボンドにとってヴェスパー以上の存在になることを示しています。





DVD 「007/カジノ・ロワイヤル」でジェームズ・ボンド役ダニエル・クレイグの吹替えを小杉十郎太氏が当てられていますが、アルティメット版DVD「女王陛下の007」でジェームズ・ボンド役ジョージ・レイゼンビーの吹替えも、TVで長年吹替えを担当されていた広川太一郎氏から、小杉十郎太氏にスイッチされましたが・・・見え見えですねぇ・・・(^皿^;)



さて・・・


「007/カジノ・ロワイヤル」を観た後、「女王陛下の007」を観るのもお奨めなのですが・・・更に私がお奨めするのは、「女王陛下の007」を観た後、続けて第16作目「007/消されたライセンス」を観るというものです。






それはなぜかというと、私が知る限り指摘するのは私が初めてだと思いますが、「007/消されたライセンス」こそが、この「女王陛下の007」の正当な続編だからです。



なぜそういえるのか?



根拠は、いずれシリーズ第16作目「007/消されたライセンス」のレビューで詳しく解説しますので、お楽しみに!




とにかく「女王陛下の007」と「007/消されたライセンス」を続けて鑑賞すると、感動もひとしお間違いなく満足できる4時間強になるし、忘れられない映画になると思いますよ。

ぜひお試しあれ。





「女王陛下の007」サントラ






007のサントラで、ベストスコアに挙げる人も多い作品です。

僕の中でもベスト2!ジョン・バリー全盛期です!

オープニングでは、いつものように主題歌を使わず、新しいボンド(レイゼンビー)のために作ったテーマ曲「ON HER MAJESTY'S SECRET SERVICE」が流れるのですが、これが、めちゃめちゃカッコイイ!!





ディズニーの「Mr.インクレディブル」のトレーラーでも使われていたので、どなたでも聴き覚えがあると思います。



私が何回も聴いているので、子供達が時々この曲を鼻唄で唄うようになってしまいました^^;

「ON HER MAJESTY'S SECRET SERVICE」を鼻唄で唄う子供達ってどうなんでしょう?


ヴォーカル曲は、ルイ“サッチモ”ームストロングが唄い上げる極上の「WE HAVE ALL TIME IN THE WORLD」、NINAの唄う映画オリジナルのクリスマス・ソング「DO YOU KNOW HOW CHRISTMAS TREES ARE GROWN?」も〜最高!

2003年発売の、未収録曲10曲がボーナスで収録されたデジタルリマスター版ですので、超お奨めです!



1. We Have All the Time in the World / Louis Armstrong (3:15)

2. This Never Happened to the Other Feller (5:06)

3. Try (3:26)

4. Ski Chase (3:39)

5. Do You Know How Christmas Trees Are Grown? / Nina (3:21)

6. Main Theme - On Her Majesty's Secret Service (2:35)

7. Journey to Blofeld's Hideaway (contains previously unreleased music wihin cue) (4:53)

8. We Have All the Time in the World (2:59)

9. Over and Out (3:11)

10. Battle at Piz Gloria (4:03)

11. We Have All the Time in the World - James Bond Theme (4:38)



Previously Ureleased Bonus Tracks:

12. Journey to Draco's Hideaway (3:41)

13. Bond and Draco (4:34)

14. Gumbold's Safe (4:59)

15. Bond Settles In (2:16)

16. Bond Meets the Girls (3:27)

17. Dusk at Piz Gloria (2:32)

18. Sir Hillary's Night Out (Who Will Buy My Yesterdays?) (4:46)

19. Blofeld's Plot (5:19)

20. Escape from Piz Gloria (4:53)

21. Bobsled Chase (2:03)






・・・それにしても、レイゼンビーが、これ一作のみというのは残念な気がします。

ボンドはショーン・コネリーただ一人と言われていた当時、かなりのプレッシャーの中、見事にフレッシュで自信満々のヤングボンドを演じきったと個人的には思っています。

しかし、彼はあまりにも役作りしすぎたのではないか?とも思います。



よく彼は製作側やファン側の要望で降板させられたと思われていますが、意外や意外、実は彼自身から降板を申し出たそうです。

このエピソードを思うたび、大塚はレイゼンビーの実生活と、この作品との因縁というか、シンクロというか・・・そういうものを感じます。



この作品のボンドは、MI7(00課のある諜報部)を退職し、トレーシーと結婚し、これからという時に、トレーシーを失います。

実際のレイゼンビーも、ボンド役を降板し、ブルース・リーと専属契約し、直後にブルース・リーを失いました。

それからのレイゼンビーは、お世辞にも恵まれたとはいえないキャリアを築くことになりました。




・・・最後に、テーマソング「愛はすべてを越えて」の訳詞を紹介したいと思います。

僕たちには時間はいくらでもあるのさ。

愛という、二人にとって大切なものを育ませるのにね。

僕たちは世界中の幸せを一人占めしているんだ。

だからもう、これ以上ほしい物はないんだ。

どこででも、なんにでも、僕らは気づかされる。

何もかもを越えて、ずっと遠くの世界に僕たちはいる。

僕たちには、これ以上ほしい物はないんだ。

この愛さえあればね

この世でたった二人だけの・・・






・・・う〜む。




THE END

OF “On Her Majesty's Secret Service”

BUT

JAMES BOND WILL RETURN

IN

DIAMOND ARE FOEVER





posted by 大塚陽一 at 23:06 | Comment(2) | TrackBack(0) |   ・ジェームズ・ボンド007
過去記事でも、コメント大!大!大!歓迎です! あなたの一言が、私のモチベーションにつながります! コメントお待ちしておりま〜す(^▽^)/
この記事へのコメント
こんにちは。
今日は、風邪から復活した娘と、
ブログ見させていただきました。
横で邪魔されてます(><)
また遊びに来ます!
Posted by ★KEEP BLUE★ at 2009年05月23日 13:31
★KEEP BLUE★様

コメントありがとうございます(^▽^)

最近のお天気の変動はすごいですから、自分も含めてお子さんの体調管理も大変ですよね(^▽^)

今後とも宜しくお願いします。
Posted by 大塚陽一 at 2009年06月04日 09:50
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/117779893
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
いつも、ご来訪ありがとうございます! またのお越しを、お待ちしておりま〜す(^▽^)/ 拙ブログ内で使用している画像・映像キャプチャー等は、あくまで記事の内容や感想を文章のみでは正確に伝えにくく、そのままだとかえって不誠実だと感じた場合、それを補足したいという点と、拙記事を通して、映画や音楽、絵画などの芸術、書籍、歴史への啓蒙と文化の熟成及び芸術復興を奨励したいという拙ブログの考えにより、 映画・音楽・絵画などの芸術や書籍などの学術研究・ゲーム等娯楽に対する敬意の姿勢で使用しております。 よって著作権等は、全て各製作者・会社に帰属します。 画像・映像キャプチャー等の使用に関して表記の問題がある場合、又は削除依頼がある場合は迅速に応対させていただきますのでご連絡ください。 皆様のご理解とご協力のほど、何卒よろしくお願いいたします。