2014年07月12日

パークランド‐ケネディ暗殺、真実の4日間:PARKLAND






国民がすべてを見る必要は無いと思う。




大統領の尊厳の問題だ




偉大な大統領を貶める行為だ
























本作品は、作家ヴィンセント・ブリオシが執筆した原作「リクレイミング・ヒストリー:ジ・アサシネーション・オブ・プレジデント・ジョン・F・ケネディ(原題) / Reclaiming History: The Assassination of President John F. Kennedy」を、ジャーナリスト兼作家ピーター・ランデスマンが脚色し、自ら監督を務めた当時の貴重な映像もまじえつつ、暗殺事件そのものというより、あの事件に望むと望まぬとにかかわらずかかわってしまい人生を翻弄された人々の姿が描かれています。



製作には名優トム・ハンクスの名前がありますが、そのからみか、メインの舞台となるパークランド病院の医師でケネディ大統領の気道を確保しようと前頸部にある小さな傷口(この傷が後に弾丸の出口なのか入り口なのかでもめることになります)に呼吸させるための管を入れるため、気管切開をおこなったマルコム・ペリー博士という(研究家的には)重要な役を演じています。



また、ハイスクールミュージカルのザック・エフロンが最初に大統領に蘇生処置をおこなう新人研修医のチェールズ・“ジム”・キャリコを演じています。



一番有名で決定的場面をフィルムに残したエイブラハム・ザプルーダーにはポール・ジアマッティ、パークランドで医師達を支えるベテラン看護師ドリス・ネルソンにマーシャ・ゲイハーデン、容疑者の苦悩する兄役で「ザ・パシフィック」のジェームズ・バッジ・デール、そしてシークレットサービスのダラス支局長フォレスト・ソレルズを演じるのは、大好物ビリー・ボブ・ソーントン。





他のケネディ暗殺を扱った映画と違って、暗殺事件自体の謎に迫るわけではないので、暗殺事件そのものに対する新たな問いかけや発見などはありませんでしたが、色々と知らなかったことが描かれていたので、非常に良かったと思います。










映画「パークランド‐ケネディ暗殺、真実の4日間」のあらすじ:
「リー(オズワルド)は秘密工作員だったのよ、ケネディ大統領と共にアーリントン(墓地)に葬られるべきだわ」




ダラスの街は市民の熱気に包まれていた。



アメリカ合衆国第35代大統領ジョン・F・ケネディが、ジャクリーン夫人とジョンソン副大統領とともにやって来るのだ。



8ミリカメラ愛好家のエイブラハム・ザプルーダーは、パレードを一目見ようとする観衆で埋め尽くされたディーリー・プラザに立ち、大統領夫妻を乗せたリンカーン・コンティネンタルが通る瞬間を撮影しようとしていた。

そして午後12時38分、車が視界に入ってきた時、3発の銃声が鳴り響く。

突然の惨事に辺り一帯はパニックに陥り、直後、頭部を撃たれたケネディ大統領は市内の病院に運び込まれるが…。



瞬時に国を委ねられたジョンソン副大統領。



容疑者逮捕のニュースを受け、自分が別件でマークしていた男だと気付いたFBI捜査官。



一夜にして普通の暮らしを失ったオズワルド容疑者の家族…。



2日後、ようやく平静を取り戻した病院に、今度は容疑者リー・H・オズワルドが瀕死の状態で運び込まれる…


















映画「パークランド‐ケネディ暗殺、真実の4日間」の解説:

「これは私の遺体だ!」






この映画は、担当医師、カメラ愛好家、シークレットサービス、FBI、容疑者の家族、そしてファーストレディ、暗殺事件に様々な形でかかわった人々のみが知る事実を丹念に描いたノンフィクション映画です。



ケネディ大統領がロールモデルだと公言する私も知らなかったこと、認識を間違っていたことなどが描かれていて、非常に興味深い内容でした。





冒頭は大統領のパレードを楽しみにするダラスの人々やコナリー州知事と大統領のウィットにとんだやりとりが映し出されて、希望に満ち満ちたアメリカが見て取れます。



それが、銃声の後一変します。




本作品のタイトルにもなっているパークランド病院では、大統領が向かっていると聞いて「風邪でもひいたんだろう」とのんきな事を言っていますが、それもストレッチャーで大統領が運ばれてきて状況は一変、ここからエピローグまで、私は目が離せませんでした。




病院内では瀕死の大統領と、もしかしたらすぐに大統領に就任するかもしれない副大統領に付き添うシークレットサービス達の葛藤と、パークランドの医師達が必死に救命措置をする姿が映されます。



運ばれてすぐは呼吸が止まっていたものの「心拍はあるぞ」ということで蘇生が始まりました。


しかし、医師達の懸命な処置の甲斐なく大統領は亡くなってしまいます。




その瞬間ジョンソン副大統領が大統領ということになり、急いで新大統領を守るため一堂は空港を目指そうとします。

この時のいつどこから新大統領が襲われるか分からないと周囲を警戒しながら新大統領の頭を庇いつつ車に乗り込む様子が、歴史を知る我々からすると妙にこっけいに写ります。

もちろんあの瞬間には当然の状況なんですけどね。




この場面で印象に残ったのは二つ。



一人軍服姿の人間が病室に付きっ切りで居て、ケネディの持病の薬を持っていたり、ジャッキーから全幅の信頼を得ているようで、誰だろうと思いましたが、これはケネディ大統領の個人的な医師でバークリー提督でした。

確かに提督というだけあって軍人なのですが、私はこれまで勝手なイメージで普通の背広姿を想像していたので、ちょと違和感がありました。




もうひとつは、ジョンソンが好意的に描かれている点。

これは本当に意外で、ジョンソンが新大統領に(宣誓前ですが)決まった瞬間、シークレットサービスはジャッキーをどうするかで議論になります。

いまやジャッキーは前大統領夫人というだけで、この緊急時に守る対象ではなくなると。

その時、ジョンソンはこう言います。




「私はジャッキーを見捨てはしない」




ね、かっこいい。


多くの暗殺研究家達は、ジョンソンをクロにするか、そうでなくとも人格的に破綻していると書いているのですが、そこからいくとこの映画では破格の扱いです。


一応綿密な取材から作られた映画だから、本当にそう言ったのかもしれませんが…。






そうそう、もうひとつ、大統領の遺体を棺に納める時、頭に包帯をまくシーンがあるのですが、実際はまいていません。

そのまま下にビニールシートを引いて棺に納めました。

これは、ベセスタ海軍病院で検視のため大統領を棺から出した際に頭が包帯で巻かれていたから、こういうシーンを挿入したのでしょうが、この件に関してはパークランドの医師たちは明確に否定しているので、どちらかの記憶違いではないかと言われています。

しかし、この部分で暗殺研究家の一部はパークランドからベセスタまでの間に、大統領の遺体に手を入れられたのだという主張があります。




この棺を運び出すシーンで、ダラスの検視官が州法では自分が検視をおこなうべきだと遺体の搬送を拒みますが、押し切られてしまいます。

歴史にIFは禁物ですが、もしここで検視がおこなわれていたら、と夢想せずにはいられません。







次に、ザプルーダフィルムについて、コダックのラボで現像されたんですね〜。

暗殺現場のフィルムの前に孫達の姿が映っていたのが印象的です。

「御家族ですか?幸せそうだ」というシークレットサービスに、ザプルーダは応えられません。

もうこの幸せな時には戻れないと思い知ったからでしょう。





最終的にカメラ愛好家のザプルーダはフィルムを「LIFE」誌に「家族を守る」ためにと、法外な値段で売りますが、もう二度とカメラで撮影することはなかったそうです。







最後に、オズワルドの兄、ロバート。

私もオズワルドに兄弟が居たことは子どもの頃の写真で知っていたのですが、同じダラスに住んでいたということは認識外でした。





彼は突然弟が大統領と警官殺しの容疑者となり、汚名を晴らす前に弟が死亡して、推定有罪となったことで、苦しみます。

家族や子孫が世界一嫌われる一族になったと弟を責めます。

また、弟リーのことを秘密工作員と信じて、本を書くことで金銭を得ようとする母親を抱え、警察からも名を変え、遠くの地で新しい人生を始めろとアドバイスを受けますが、生涯オズワルドの名の下に生きたそうです。





物語の終盤、ケネディ大統領の葬儀とジャック・ルビーに射殺されたオズワルドの葬儀、そしてFBIでオズワルドのファイルが焼却されるシーンがオーバーラップされて描かれます。



片や国を挙げてアーリントンに埋葬される大統領。



片やその大統領を殺した忌まわしい犯人ということで、どの教会からもどの墓地からも拒否されたオズワルド。


霊柩車から棺を降ろそうにも誰も手伝ってくれないので、その場に居合わせた記者に手伝ってもらって棺をおろし、埋葬するのに兄が一人で土をかけて、みかねた黒人(南部ではまだ当時黒人の人権は確立されていませんでした)が手伝って土をかけました。




そのシーンにオズワルドのファイルが焼かれるシーンが重なり、すべては消されていきました。







最後に・・・




本作品のタイトルになったパークランド病院。


瀕死のケネディが搬送され、亡くなった病院でもあり、その犯人とされたオズワルドが、これも瀕死の状態で搬送され、亡くなり、そのオズワルドを射殺した犯人ジャック・ルビーも、この病院で息を引き取りました。











ベスト・エヴィデンス(上巻) [ デイヴィッド・S.リフトン ]

価格:2,700円
(2014/7/12 16:32時点)
感想(0件)



JFK<ディレクターズ・カット/日本語吹替完声版> 【Blu-ray】 [ ケビン・コスナー ]

価格:2,538円
(2014/7/12 16:33時点)
感想(2件)



JFK Day by Day

価格:2,912円
(2014/7/12 16:33時点)
感想(1件)


posted by 大塚陽一 at 16:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画スイッチ
過去記事でも、コメント大!大!大!歓迎です! あなたの一言が、私のモチベーションにつながります! コメントお待ちしておりま〜す(^▽^)/
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/401607269
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
いつも、ご来訪ありがとうございます! またのお越しを、お待ちしておりま〜す(^▽^)/ 拙ブログ内で使用している画像・映像キャプチャー等は、あくまで記事の内容や感想を文章のみでは正確に伝えにくく、そのままだとかえって不誠実だと感じた場合、それを補足したいという点と、拙記事を通して、映画や音楽、絵画などの芸術、書籍、歴史への啓蒙と文化の熟成及び芸術復興を奨励したいという拙ブログの考えにより、 映画・音楽・絵画などの芸術や書籍などの学術研究・ゲーム等娯楽に対する敬意の姿勢で使用しております。 よって著作権等は、全て各製作者・会社に帰属します。 画像・映像キャプチャー等の使用に関して表記の問題がある場合、又は削除依頼がある場合は迅速に応対させていただきますのでご連絡ください。 皆様のご理解とご協力のほど、何卒よろしくお願いいたします。