やあパパ
ようこそ日本へ
僕のネリーは
お元気?

日本を舞台に、破格の制作費 950万ドルを費やして作られた超大作です。
何もかもスケールが大きく、スパイ映画というよりも、冒険活劇風のテイストが楽しめる映画になっていて、子ども達に見せる007シリーズ入門編としても、程よい作風です。
日本が舞台なので、当時の日本のスターも数多く出演しています。


当然女優陣も、浜美枝さん・若林映子さんと、華やかなメンバー揃いですが、特にタイガー田中を演じた丹波哲郎氏は印象的で、ボンドの協力者としては、「007/ロシアより愛をこめて」のケリム・ベイに次いで存在感がある人物だと、個人的には確信しています。

火山の火口に作られたケン・アダムがデザインしたスペクター本部のあの大掛かりな基地のセットは、建設費が100万ドルという、名実共に過去最大規模のセットとなりました。

開閉する天井、可動式のヘリポート、モノレールに巨大な宇宙ロケット(全て実物大で作ったそうですゾ)そして、基地の屋根からロープが下りてきて、忍者部隊が一斉に降りてくるシーンも圧巻。
黒髪のかつらをつけ、日本の漁師になりきっていたボンドの姿は、少し滑稽でしたが、それが気にならなくなるほど面白いですよ。

「007は二度死ぬ」のストーリー:
死んだにしては随分エネルギッシュだね、ボンドさん
米国の宇宙ロケットが行方不明になる事件が起きた。
米国はソ連を牽制。
米ソの関係は悪化するが、英国は謎の宇宙船が日本付近に着陸したのを確認。
スペクターの関与を懸念する英国情報部は、ジェームズ・ボンドを日本に派遣するが、ボンドは襲撃を受け死亡。
彼の殉職は新聞で報じられ、遺体は水葬にされる。
しかし、これは敵の目をそらすMの作戦だった。
日本へ潜入したボンドは、謎の女性アキの導きで、日本の情報部局長のタイガー田中に接触する。
ボンドはアキと協力して大里工業を探る中で、火山のあるマツ島に怪しい動きがあることを知った。
ボンドは、日本人に変装してキャシー鈴木と偽装結婚してマツ島に潜入するも、手掛かりがどうしても掴めなかった。
そうこうしている内に、ソ連の宇宙船も同じように姿を消したため、米ソ両国は互いに疑心暗鬼に陥り、臨戦体制に入る。
次の米宇宙船が消失すれば、東西両陣営の世界大戦は必至だ。
果たして、ボンドは敵の基地を発見し、世界大戦を未然に防ぐ事ができるのか?

「007は二度死ぬ」のサイドストーリー:
ご主人様を忘れるなよ!ご主人様を!

第2作目の「007/ロシアより愛をこめて」と第4作目の「007/サンダーボール作戦」 では顔を見せなかったスペクターの「No.1」ブロフェルドが初めてその顔を見せるのもこの作品です。

これは、原作の順番が「サンダーボール作戦」「女王陛下の007」「007は二度死ぬ」という流れで、映画もその順番で行こうと準備していましたが、どうにもスイスロケが困難ということで、「女王陛下の007」より先に「007は二度死ぬ」が来てしまい、両作品でボンドとブロフェルドが初対面という何とも不可思議な状態になってしまいました。
本作品のオープニングシーンで、米ソの宇宙船が何者かの手によって拿捕されますが、米ソは互いに相手を疑います。
これはスペクターの陰謀で、米ソの緊張を高めるという目的なのですが、そのスペクターの裏で糸を引いて漁夫の利を得ようと企んでいるのが中国ということになっています。
それを第三者である英国が暴く流れなのですが、当時の世界情勢の中で米ソに遅れをとっていく英国の、それでもプライド高く肩を並べている、そういう姿が描かれていて、ちょと寂しさを感じるシーンでもあります。

さてさて、ロケが行われた当時(1967年)、日本では大騒ぎになったようです。
ショーン・コネリーはこの作品の撮影中に、日本でボンド役の降板を発表する記者会見を開きました。
本編には日本各地が登場しますが、蔵前国技館、姫路城、神戸港、そして鹿児島県の秋目村でロケが行われたそうです。
今 から40年前の東京の街並みは、まるで異国の地のようで、逆に新鮮です。

トヨタ2000GTのカーチェイスシーンもいいのですが、敵の乗る車を、ヘリにぶら下げられた強力な磁石で吊り下げ、東京湾まで運び、投げ落とすシーンには、唖然としました。

そして、埠頭での格闘シーンでは、「手をあげて、横断歩道を渡りましょう!」で、お馴染み「笑点」の先代座布団持ち松崎真さんが、センターで襲ってきたし、オートジャイロ(リトル・ネリー)が、飛び立つシーンでは、松岡きっこ女史(一番右端の海女さん)が出演されていました。


当初は、優しい顔のチェコの俳優がプロフェルド役を演じていたらしいのですが、急遽、撮影五日目で降ろされ、スキンヘッドのドナルド・プレザンスになったそうです。このブロフェルドは、前作のラルゴに比べて、まったく貫禄がなくてガッカリした覚えがあります。


そうそう!ブロフェルドといえば、本作に英国情報員ヘンダーソン役で登場するチャールズ・グレイは、シリーズ第7作目「007/ダイヤモンドは永遠に」で、ブロフェルドを演じています。

マネーペニーが、日本の情報局員との合言葉が「アイ・ラヴ・ユー」であることを、ボンドに教えるのですが、「分かった」というボンドに、「念のため、言ってみて」と、おねだりするシーンがあるのですが、この時のマネーペニーは、とても可愛らしいです。
今時こんな女性は、なかなか居ないですね。

さて、この作品が上映された1967年は、当時イアン・フレミング原作「カジノ・ロワイヤル」の映画化権はイオン・プロにはなく、まだ原作がアメリカで有名になる前の1955年、グレゴリー・ラトフが$6000で取得していたのですが、ラトフは本作を映画化することなく1960年に他界、その後、権利を取得したチャールズ・K・フェルドマンが原作とイオン・プロの007シリーズをパロディ化した「007/カジノ・ロワイヤル」を映画化した年でもあります。

最初は、この「カジノ・ロワイヤル」、主演をショーン・コネリーで、という打診があったり、イオン側も合作という道を探ったりしていたのですが、結局決裂しました。
コネリー主演という話がなくなって「カジノ・ロワイヤル」は王道からパロディへと方向転換することになり、「一人のボンドじゃ手に負えない」という宣伝文句を打ち出しました。

それに対抗するようにイオン側は、この「007は二度死ぬ」の宣伝で、「he is one and only Sean Connery」と言ってみたり、「ショーン・コネリーだけ」がボンドという打ち出し方をしていたため、前出の通り、すでに降板を表明していたコネリーともめたり、などということもあったようです。

そういう場外乱闘はいろいろ逢ったようですが、本作は、本編も良いのですが、音楽がまた最高!
私の中では、007シリーズのサントラでも上位にあるOSTアルバムです!!
ナンシー・シナトラの主題歌も、とてもムーディで素晴らしいし、言う事無いです!
世に、映画音楽を手がける音楽家は、数あれど、7曲目「Mountains and Sunsets」や、次作「女王陛下の007」の7曲目「Journey to Blofeld's Hideaway (contains previously unreleased music wihin cue)」といった、雄大で美しい、聴くだけで風景が心に拡がって見えるような曲を書けるのは、ジョン・バリーだけじゃないかと思っています。

01. You Only Live Twice - Title Song (2:47)
02. Capsule In Space (2:45)
03. Fight At Kobe Dock - Helga (4:03)
04. Tanaka's World (2:07)
05. A Drop In The Ocean (2:23)
06. The Death of Aki (4:21)
07. Mountains and Sunsets (3:13)
08. The Wedding (2:49)
09. James Bond - Astronaut?(3:31)
10.Countdown For Blofeld (2:39)
11. Bond Averts World War Three (2:18)
12. You Only Live Twice - End Title (3:31)
13.James Bond In Japan(10:41)
14.Aki, Tiger And Osato(5:44)
15.Little Nellie(3:45)
16.Soviet Capsule(2:06)
17.Spectre And Village(3:46)
18.James Bond - Ninja(7:06)
19.Twice Is The Only Way To Live(2:48)
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第18作目「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」から、第22作目「007/慰めの報酬」まで音楽を担当しているデビッド・アーノルドは、子供の頃パーティで放映された、この作品を観て007シリーズのファンになったそうです。
ほんとうの制作費は950万ドルでは?
> さん
>ほんとうの制作費は950万ドルでは?
ご指摘ありがとうございます!
本当ですね、0を一つ多めに間違えてしまっていたようです。
訂正させていただきました、ありがとうございました。
今後とも、よろしくお願いいたします(^▽^)