私がスペクターに加入したことは
知りようがありません。
私の変節は
モスクワ首脳部の極秘事項です。

シリーズ2作目にして、シリーズ最高傑作と言われ、一番好きな作品として挙げる人が多い名作です。
全編を通してテンポが速く、絶えず緊張感あり、ストーリーも、あのケネディ大統領が愛読したという原作にかなり近い仕上がりになっています。
いかにもスパイらしい合言葉を使ったやり取りや、密室での格闘、緊迫感たっぷりのシーンが満載。

特に、レッド・グラントは歴代の用心棒役の中でも一際印象が残るキャラクターです。
時期が来るまで、時には守護天使よろしく他の妨害・危険から守り、常につかず離れず、ボンドをピタリとマークしながら、徐々に近づいていく様子は、身震いするほどシビレます。
この作品での演技を買われ、後にジョーズなどの大作で重要な役を演じることになるロバート・ショウが、このグラントを演じていますが、後半のボンドとグラントの壮絶なオリエント急行内密室での格闘シーンは、シリーズ史上屈指の名場面です。

前作で見られたアクションの後のユーモアは、更に磨かれ健在です。
例えば、大きな顔の看板の口の部分から出てきたクリレンコをライフルで打ち落とした後、「口は災いの元」という台詞や、敵のヘリコプターを墜落させた時の「1機帰還せず」などです。
最も面白いのは、ボンドとロマノアの会話を収録したテープをMやマネーペニーや政府高官達が聞くシーンです。
「レクター」の特徴を聞き出すボンドに、ロマノアの関係ない言葉(あなたの瞳のような色よ、とか、亡命しても、愛してくれる?という甘い言葉)が挟まれ、更にその言葉に答えるボンド(ああ、寝かせんよとか言っちゃいます^^;)が、最後には東京で遊んだ女について語り始めるところで、Mはテープを止めます。
その内容をヤキモキしながら聞くマネーペニーの表情が、可愛いいですよ。

前作に引き続き登場する悪の秘密組織「スペクター」は、ボンドの敵としてしばらく登場します。
今回主に行動するのはbRとbTですが、bTはチェス大会の優勝者として登場し、bPであるブロフェルドから、失敗の責任を取らされて殺されます。
bTを殺すために、後ろからゆっくりとやってきて靴に仕込んだ毒の刃で表情一つ変えずに、足をプスっと刺す男モーゼニー(後のシリーズでソ連のゴーゴル将軍役で準レギュラーとなるウォルター・ゴーテル)が、「新必殺仕置人」で「寅の会」の用心棒「死神」に匹敵する不気味さで、恐ろしい印象が残ります。

前作と同様、日本初公開時は「007危機一発」というタイトルで公開されました。
「発」というのは、誤植ではありません。素晴らしい当て字だと思います。

今回のボンド・ガールはダニエラ・ビアンキ。'60の準ミス・ユニバースにも選ばれた美人で、国際モデルとして活躍していたようです。
このダニエラ・ビアンキこそボンド・ガールのナンバー1という意見が多いですが、ほとんど反論がでないほど魅力的な女性です。

また、今回の協力者ケリム・ベイの存在も大きいでしょう。
近年のシリーズにはない、強かで、切れ者で、ユーモアのセンスがあり、頼りになる男。
コネリーがボンドでなければ、喰われてしまうのではないか?というほど魅力的な存在でした。

007/ロシアより愛をこめて(007/危機一発)のストーリー:
おまえも幸運な女だよ、こんなに楽で楽しい仕事はない。文字通り、愛の勤労奉仕だねぇ
犯罪組織「スペクター」は、クラブ諸島の領主ノオ博士の秘密基地を破壊し、アメリカ月ロケットの軌道妨害を阻止した英国海外情報局の諜報員007ことジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)への復讐、それもソビエト情報局の美人女性情報員と暗号解読機「レクター」を餌にボンドを「辱めて殺す」ことで両国に泥を塗り外交関係を悪化させ、さらにその機に乗じて解読機を強奪するという、一石三鳥の計画を立案した。
これは、スペクターのbTこと、チェスの世界的名人クロンスティーンで、表向きスメルシュ幹部であるbRクレップ大佐が遂行することとなった。
クレップからの指令で、トルコのソ連領事館員タチアナが英国情報部員ケリムに接触。
ボンドに一目惚れしたので、もしもボンドがイスタンブールまで迎えにくるなら、暗号解読器「レクター」を持って西側に亡命したいと言ってきた。
果たしてMは、ソ連の罠と承知でボンドを派遣する。
トルコでは、当然ソ連の尾行が着くが、スペクターの殺し屋グラントが殺害。
英国の仕業だと怒ったソ連のクリレンコは、ケリムを何度も襲撃したが、失敗。
お返しにケリムは、隠れ家を襲撃し、クリレンコを射殺する。
「レクター」奪取作戦遂行のため、ケリムはソ連領事館を爆破。
その間にボンドは領事館に侵入し、「レクター」を奪い、タチアナと共に脱出し、国外脱出のためオリエント急行に飛び乗る。
しかし、同じ列車内には、グラントの姿が・・・

「007/ロシアより愛をこめて」のサイドストーリー:
古い案件を整理していてね

ちなみにこの映画と同名のPS2用ゲームソフト「ロシアより愛をこめて」は、なんとショーン・コネリー本人が、吹替えをしています。
ボンドが山肌でヘリに襲われる場面で、すれすれに飛んでくるヘリを避けているシーンは、ヒッチコックの『北北西に進路をとれ』のオマージュらしいですが、コネリー本人によるスタントだったそうです。
ヒッチコックと言えば、オリエント急行の場面もどことなくヒッチコックの映画を彷彿させますね。
オリエント急行で繰り広げられる、ロバート・ショウ演じる殺し屋レッド・グラントとボンドの格闘シーンは、本当に今でも興奮します。

イギリス情報部トルコ部長のケリム・ベイを演じたペドロ・アルメンダリスは、この撮影中に癌が見つかり、この撮影終了後に自殺を遂げてしまったそうです。
しかし、その息子、ペドロ・アルメンダリスJr.は、「007/消されたライセンス」に大統領役で出演していました。

デズモンド・ルウェルリン演じるQは、毎回ボンドに新兵器を授ける役ですが、今作品まではQ課(Qブランチ)のブースロイド少佐と呼ばれています。
今回は、装備が色々入ったアタッシュケースをボンドに渡しています。
次作「007/ゴールドフィンガー」以降は、Qの説明を真面目に聴かず、遊んでばかりのボンドが、本作品では真面目に説明を聴き、「試してみろ」というQに「出来た」(^▽^)と素直に従うところが初々しいですよ!

ラストのベニスの街並みを遊覧船で川下りするボンドとタチアナのシーンは、かなりいいラストシーンだと思います。
そう言えば、スピルバーグやルーカスは、大のボンド映画好きで、インディ・ジョーンズも前作と今作で、監督を務めた「テレンス・ヤング監督のボンド映画のようなアドベンチャーを作りたかった」と言っていましたが、インディ・ジョーンズでも似たようなシーンがあったような・・・マット・モンローのいい声で歌う主題歌も大ヒットして、私のカラオケで歌うレパートリーになっています。
サントラですが、まだまだジョン・バリーが、試行錯誤している部分を感じるものの、オープニングテーマは、最高にカッコイイし、「TANIA MEETS KLEBB」のようなバリーお得意の風景と空気感を感じさせる曲が、すでに聴けるし、何よりもう一つのシリーズのテーマ曲と言ってもいい「007」も、このサントラから登場しています。

1. Opening Titles: James Bond Is Back/From Russia With Love/James Bond Theme (2:29)
2. Tania Meets Klebb (1:29)
3. Meeting in St. Sophia (1:09)
4. The Golden Horn (2:26)
5. Girl Trouble (2:25)
6. Bond Meets Tania (1:20)
7. 007 (2:46)
8. Gypsy Camp (1:16)
9. Death of Grant (1:59)
10. From Russia With Love / Matt Munro (2:35)
11. Spectre Island (1:18)
12. Guitar Lament (1:11)
13. Man Overboard Smersh in Action (2:18)
14. James Bond With Bongos (2:32)
15. Stalking (2:05)
16. Leila Dances (1:56)
17. Death of Kerin (2:30)
18. 007 Takes the Lektor (3:03)
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