ジャック・リーチャー。
ジョンの愛称ではなく、ミドルネームなし。
まるでゴースト(幽霊)だ。
運転免許の所有歴なし。
過去を含めて住所なし。
クレジットカードも持っていない、私書箱、携帯電話、eメールなし、なにもない。
「一体何者なんだ?」
経歴なら分かります。
軍人の家系。
海外の基地で生まれ育ち、父親は海兵隊員、母親はフランス人。
陸軍士官学校に入る為アメリカに来た。
卒業後戦地を転々とする、イラク、アフガニスタン、東ヨーロッパ、バルカン半島、世界中だ。
何度も手柄を立てた。
シルバースター(銀星章)、ブロンズスター(青銅星章)、勲功章、国防勲功章とやらも受章・・・はじめて聴いた。
それに名誉負傷賞。
現役中の大半は軍警察に所属し、誰もが認める腕利きの捜査官だが、トラブルメイカーでもあった。
大尉に格下げとなるが、少佐の地位を取り戻す。
ところが2年前除隊した。
軍の中でずっと人生を送ってきたのに、あっさり辞めた。
そして、それが人生2度目となるがアメリカに帰国した後、姿を消す。
イギリス人でアメリカの作家、リー・チャイルドのベストセラー・シリーズ「ジャック・リーチャーシリーズ」9作目の小説『アウトロー』(原題: One Shot)を原作としたアクション映画です。

原作のリーチャーは巨漢というイメージで描かれていますが、主演のトム・クルーズはどちらかというと身体は見事に鍛えられているものの、小柄な体格です。
当初はイメージと合わないんじゃないかと言われていましたが、原作者リー・チャイルドはトムを絶賛。
本編を鑑賞すると確かに、トムのキャラクターとリーチャーのそれはうまくブレンドされていて、とても魅力的に感じます。
理想的な形で実写版ジャック・リーチャーを誕生させたといっても過言ではないのではないでしょうか。

脇を固める俳優陣も、玄人好みのロバート・デュバル(「地獄の黙示録」「ゴッドファーザー」)や「007/ダイ・アナザーデイ」で氷の女ミランダ・フロストを演じ「ゴーン・ガール」でアカデミー主演女優賞にノミネートされたロザムンド・パイクなど、渋めの布陣で個人的には嬉しいキャスティングでした。

映画「アウトロー」のストーリー : 4862681
ペンシルベニア州ピッツバーグ、男が運転する白いバンがアレゲニー川沿いにあるPNCパークの対岸の立体駐車場に入り、駐車料金を払った後スナイパーライフルで6発の銃弾を発射、5人の人々を狙撃するという無差別殺人事件が起こった。
すぐに警察が到着、エマーソン刑事たちは薬莢と有料駐車場の支払いに使われた硬貨を発見する。
硬貨の指紋から元アメリカ陸軍のスナイパー、ジェームズ・バーが容疑者として浮上する。
彼の家に突入するとバンと犯行に使われたライフルが見つかり、バーは逮捕された。
エマーソン刑事と地方検事のアレックス・ロディンによる取り調べの中で、バーはメモ帳に「ジャック・リーチャーを呼べ」と書く。
ジャック・リーチャーは元米軍憲兵隊捜査官で、現在は流れ者となっていた。
リーチャーはバーや狙撃事件のニュースを見た後、ピッツバーグに着く。
リーチャーは、証拠の提示は拒否されたが、バーに会うことは許された。
バーは、護送中に他の受刑者から暴力を受け昏睡状態に陥っていた。
そこでリーチャーは、バーの弁護士で地方検事の娘であるヘレン・ロディンと会う。
果たして本当に単純な異常者の無差別殺人事件だったのか?
調査を進めるジャック・リーチャーに付きまとう影の正体は?
映画「アウトロー」のサイドストーリー :
奴(ジャック・リーチャー)は法を気にしない。証拠を当てにしない。大事なのは正義だけだ。
はい。
本編の内容自体は、まあ、アクション系のエンタメ映画に求められる基準はしっかりと超えた佳作という感じで、ジャック・リーチャーという今後シリーズ化するであろうキャラクターのお目見え作品としては及第点といえるでしょう。
私は個人的には大好きで何度も観てしまいます。
それはリーチャー自身のキャラクターの魅力もあるのですが、何よりもその境遇の魅力に惹かれるのだと思います。

当然私が惹かれたリーチャーの境遇って、この作品名の通りアウトローな部分になります。
まず、アウトローの定義ですが、「無法者」「ならず者」「法の秩序の埒外にある者」といったところでしょう。
そして、この場合ジャック・リーチャーを指す「アウトロー」とは「法の秩序の埒外にある者」ということになります。
それってどういう人かというと・・・
仕事にも、家にも、人にも、身分にも、何にも縛られない人ということになります。

リーチャーは、生きるために仕事をしなくても軍人時代の働きによって恩給をもらえているので、働いていません。
だから仕事を中心に生きなくてもいいんですね。
また、特定の住居を持たず、移動も徒歩やヒッチハイク、或いはバスなどの公共交通機関を利用し、流れ着いた街の安宿を転々とする生き方です。
恋人・家族・友人など面倒な人間関係も持たず、女性との関係も一夜限りの関係のようです。

身分や居所を明かす免許証、身分証明のIDカードも持ちませんし、足取りを掴まれる恐れのある携帯電話やクレジットカードなどは持ちません。
バージニアの銀行口座に毎月支払われる恩給を、口座から時々引き出して使う現金主義者です。

男性なら、あこがれる境遇ではないでしょうか?
私も、若い頃にホームレスを経験しましたが、今毎月恩給が出るという状況になって、ホームレス生活してもいいよ。と言われたら・・・正直その誘惑に勝てるかどうか・・・。

さて、そういう男があこがれるジャック・リーチャー・シリーズの第二弾「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」が、今上映中ですね、何とか時間を作って劇場で鑑賞したいと思っております!
それが叶ったら、またレビューしますね!!