2007年12月13日

ブレードランナー:Blade Runner







人生はロウソク見たいなもので



激しく燃えれば早く尽きる。






人生を楽しめ!




















SF映画といえば、必ず挙げられるのが、「スター・ウォーズ」と「2001年宇宙の旅」と、この「ブレードランナー」ではないでしょうか?



もちろん他にも、素晴らしいSF映画は何作品もあるのですが、その後のあらゆる作品に影響を与えた、エポックメイキングなSF映画としては、上記3作品でトップ3というのは、異論の無いところではないでしょうか?



特に、それまでSFの世界というのは、金ぴかキラキラで、銀色に輝く都市と宇宙船というイメージだったのを、ジメジメと暗く雨で湿っている貧民街のような世界として描いた「ブレードランナー」以降のSF映画では、ほとんどの未来世界が、ジメジメした暗いイメージになってしまいました。




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さて、その傑作SF映画「ブレードランナー」の「【10,000セット限定生産】『ブレードランナー』製作25周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション・プレミアム(5枚組み)」(長っ!)と、「【初回限定生産】『ブレードランナー』製作25周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション(5枚組み)」が、明日12月14日に販売されるということなので、記憶を振り絞ってレビューしてみようかと思います!









実は、上記のDVDセットに、本編は5つのバージョンが入っています。





時系列的に言うと、


1.劇場公開前のリサーチ試写で使用された、オリジナル本編『ブレードランナー』ワークプリント(1982) 初ソフト化作品

2.オリジナル劇場版『ブレードランナー』(1982)初DVD化作品

3.オリジナル版から削除された残酷シーンなどを追加したインターナショナル劇場版『ブレードランナー 完全版』(1982)初DVD化作品

4.音声・画質初リマスター『ディレクターズカット/ ブレードランナー 最終版』(1992)

5.リドリー・スコットが製作25周年を記念して再編集。『ブレードランナー ファイナル・カット』(2007) 初ソフト化作品




これは、色々と大人の事情があって、こんなにいっぱいバージョン違いが存在するのですが、私は、1.と5.は未見ですが、2.と3.が好きで、4.は、ちょっと・・・

それが何故かは、サイドストーリー(ネタバレ込)で説明しますね。







「ブレードランナー」のストーリー:

 レプリカントは、自分のことを知りたがっていた。
 「自分がどこから来てどこへ行こうとしているのか」を
 ・・・これは人間も同じなのだ・・・。





近未来2019年のロス。


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この頃の地球は宇宙へ進出していたが、植民地の惑星から強制労働させている人造人間であるレプリカント4体が脱走、地球へ逃亡した。


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これに対し、レプリカント抹殺を専門とするブレードランナーの一人、デッカード(ハリソン・フォード)は、警察から捜索と抹殺処理の依頼を引き受ける。


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彼は、捜索中にレプリカントの製造元タイレル社を訪れ、タイレル博士と面会すると共に、タイレルの秘書である美女レイチェル(ショー ン・ヤング)と出会う。


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情報を仕入れたデッカードは、まず、街のショーパブでスネーク・ダンスを踊っていた女性レプリカントの一人、ゾーラを射殺する。


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その直後、彼は男性レプリカントに命を狙われるが、危機一髪のところをレイチェルに救われる。


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デッカードとレイチェルは急速に親密な仲となり、彼のアパートで二人は結ばれる。


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その頃、レプリカントの首領格バティ(ルトガー・ハウアー)は、タイレル社に辿り着いていた。


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高度に発達したバイオテクノロジーによって人間そっくりの生体機械として造られたレプリカントに、元々感情はないが、数年すると感情が芽生えてくる。



彼らに感情や自我が目覚めると人間と同じように権利を主張するようになったり、何かと厄介なことになる。



そこで、リスク対策として、彼らには僅か4年で寿命が尽きるように設計されていた。



4体のレプリカントが、追われるのを承知で過酷な労働を強制された惑星を脱出して、密かに地球に戻って来たのは、自分たちを開発した創造者であるタイレルに会い、自分の寿命が後どれだけ残っているのかを知ることと、寿命を伸ばしてもらうことが目的だったのだ。


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しかし、物理的に延命は不可能だと知らされたバディは、タイレルを殺してしまう。



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バディは、プリス(ダリル・ハンナ)を始めとして殺された仲間の仇をとるため、デッカートを殺すことに残りの寿命を費やす。


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寿命が尽きようとする中、殺された仲間の為に涙を流しながらデッカートを追い詰めるバディ‥‥


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絶対絶命のデッカート、いよいよバディの寿命が尽ようとする、その時‥‥。


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「ブレードランナー」のサイドストーリー:

「二つで充分ですよ!分かってくださいよぉ!」




ロボットという言葉は、1920年にチェコを代表する作家カレル・チャペックの「R.U.R(ロッサム万能ロボット会社)」という戯曲にて初めて使われた「労役」という意味のチェコ語、「robota」(=ロボタ)が起源なのですが、そのストーリーが、ロボットに職を奪われた労働者が暴動を起こし、これに対して体制側がロボット軍を差し向けるのですが、その内に感情を持ったロボットがあらわれて革命を起こすという皮肉な内容でした。


この「R.U.R」のロボットは、ロボットというよりも、実際はアンドロイド(ヒューマノイドor人造人間)というべき存在でした。


それが原型となっているのか、海外ではロボット、中でも人間型のヒューマノイドに恐怖心を抱く者が多く、殺戮兵器などネガティブな存在として描かれることが多いですね。


これは、人型ロボット、アンドロイドの原イメージが、正義の味方「鉄腕アトム」となっている日本人には理解し難い感覚(日本のロボット研究者のほとんどは、アトムに影響を受けて研究を始めたそうなので、日本のロボットやアンドロイドという存在は、人間との平和的共存を目的とする非常にポジティブなイメージ)ですね。








しかしまぁ上記の理由から、アンドロイドに感情が芽生え、人類に反旗を翻すというのは、SF映画に本当によくある設定ですが、この映画が、他の類似作品と決定的に違うところは、反旗を翻すロボット=レプリカントの動機です。


人類に反抗したため追われる立場となった4体のレプリカントは、人間を支配しようとして反旗を翻した訳ではありません。


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彼らの願いは「自分の製造日を知ること」と「寿命を延ばしたい」この2点だけです。




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レプリカントの寿命は上限4年というリミッターが設定されています。


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だから、製造日が分かれば、自分が何月何日に死ぬのか、あと自分に残された時間が、どれだけあるのかが分かるのです。


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自我が芽生えた途端、レプリカントたちは、死というものが、近くに迫りつつあるという現実を知る。


自我が芽生えた途端なのです。


自我が芽生えた途端に、死を突きつけられ、奴隷のように強制労働させられる毎日に、自分の存在意義を問うてみる。




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自分は何のために生まれ、何のために生きるのか」・・・切実な問いです。




それを確かめるために、自分のルーツを辿り、アイデンティティを探す旅に出たレプリカントたち。




我々は、普段意識している、していないに係わらず、自分たちの人生は半永久的に続いていくかのような認識を持って生きています。


それが、もし、自分にあと長くても4年しか寿命が残されていないと分かったら、あなたならどうですか?


この映画は、SFという舞台を借りて、昔から人類にとって普遍の、そして不変の「人間とは何なのか」「自分とは何者なのか」というアイデンティティを探るというテーマを投げかけているのです。


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レプリカントを追い、抹殺することを生業とするデッカードは人間でありながら、女性型レプリカントに恋してしまう。


この感情をどうすべきか・・・。


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その女性型レプリカントも、自分が、果たして人間なのか、それともレプリカントなのかを思い悩んでいたのです。


自分は、一体何者なのか。


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そして、私の大好きなクライマックスシーン・・・




怨み重なるデッカードを追い詰め、手が外れれば、奈落の底に一直線・・・確実な死を目前に、恐怖に恐れおののくデッカード。


見つめるバディ。


「もっと生きたい!生きていたい」と願っていたレプリカントの仲間たちを追い詰め、抹殺してきたデッカードの手が、鉄柱から離れようとした時、壊死寸前の右手を伸ばし、デッカードを助け上げるバディ。



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この時、バディは自分のアイデンティティを確立したんですねぇ。



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「俺は、おまえら人間には想像もできないものを色々見てきた。


 オリオン座のそばで炎に包まれた攻撃型宇宙船。


 タンホイザーゲートの近くで、闇の中に輝くC光線を見た。


 それら全ての瞬間は時が来れば失われる。


 雨の中の涙のように。


 ・・・時が来た。


 ・・・死ぬ時間だ」




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抱えていた鳩が、バディの死によって、空高く羽ばたいていく。



すべてを「許す」ことによって、やっと苦悩や苦痛から解放されたバディの魂のように。


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・・・というのは、冒頭で説明した3.の「完全版」までの解釈で、4.と5.は、ちょっと意味合いが違ってきます。


何が違うかと言うと、細かい点は省きますが、4.と5.では、デッカードが人間ではなく、レプリカントだったという設定になっています。


はい。


つまり、ここまで私が話してきたとこが、すべてぶち壊しということです。


しかも、最後にデッカードがバディに助けられ、その死を見取ってから、2.と3.は、デッカードが、レプリカントであるレイチェルを連れて、ブレードランナーである同僚ガフから彼女を守るため、緑豊かな郊外へ逃避行する、いわゆる「ハッピーエンド」になりますが、1.と、4.5.の「ディレクターズ・カット」では、このシーンは全面カット。


二人が逃げるために、マンションのエレベータに乗ったシーンで、終わりとなります。


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あの逃避行シーンは、クランクアップ後に追加撮影されて、しかもトーンが全然違うからファンの間でも、評価されていなかったようですが、それまで雨ばかりの汚く暗い夜のシーンばかりだったのが、バディに気付かされ、自分のアイデンティティを発見し、残りの人生をどう生きるか決めたところから、初めて明るい緑あふれる世界が広がるので、デッカードの心と同調したシーンとして、私としては逆に、その手腕に惜しみない拍手を捧げていたのです。




それがフタを開けてみれば、(4.と5.では)主人公のデッカードが、実は人間じゃなくてレプリカントでした!ということになれば、私がここまで力説してきたこの映画の根幹テーマ自体ぶち壊しになってしまいます。


なぜ監督が、こんなことを仕出かしたのか、未だに理解できません。


まだ「ディレクターズ・カット」版が出来るよりも、ずっと昔から、ファンの間では「デッカードも実はレプリカントだった」という説が存在しましたから、「そーだよ〜ん」「ああっ!やっぱり!」みたいなのを、浅はかに狙ったとしか思えないんですが・・・


やっぱり、クライマックスシーンで、レプリカントにとって創造主の一人であり、しかも、仲間の命を奪った張本人である人間を、命が尽きようとしているレプリカントが助けたから・・・そして、レプリカントであるレイチェルを愛し抜く事を人間であるデッカードが決意したから・・・そこに意味があると思うのですが、いかがでしょうか?




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このサイドストーリーに掲げた言葉、「二つで充分ですよ・・・」という台詞は、本編中デッカードがソバ屋で、うどんのトッピングを4つ注文するシーンで、店のマスターが、4つも要らない、2つで充分だと断るシーンの台詞なのですが、「ブレードランナー」自体も、2.のオリジナル劇場版『ブレードランナー』と、3.のインターナショナル劇場版『ブレードランナー 完全版』の「二つだけで充分ですよ!わかってくださいよぉ」なのです。



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・・・と、色々言ってますが、「ブレードランナー・ファイナルカット」を見てみて、色々と考えが変わりました。



一応ここに書いてますので、御興味がありましたらよろしくお願いいたします。







posted by 大塚陽一 at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) |   ・超完全解読スイッチ
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